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永住権 VS. 市民権

November 1st, 2009

永住権、つまりグリーンカードは10年有効なカードで、10年置きに更新しなければなりません。永住権は永久な滞在資格ではなく、米国に居住する意思をなくなったと判断されれば、没収されることがあります。例えば、日本に帰任になったり、また米国外への海外赴任や海外留学が長期化してしまうと、永住権を維持するのが難しくなってきます。一方、米国市民権保持者は米国を長期不在にしても米国籍を喪失することはありません。以下に永住権と市民権のメリットとディメリットについてみてみましょう。

永住権保持者は米国大使館でビザを申請する必要がないため、日米間の行き来が比較的自由に行えます。学生は州立大学の州内住民用の学費が適用になるため進学コストの節約でき、また、就職活動やアルバイトにも制限がなくなります。米国市民や永住権保持者対象の奨学金やローンの申請も可能になるのも大きなメリットといえるでしょう。しかしながら、永住権保持者には米国の選挙権が与えられません。また、永住権保持者は全世界の所得が米国の課税対象となるので、駐在員は日本でうけとる退職金も米国の課税対象となってしまうので注意が必要です。さらに、永住権保持は引き続き引越しのたびに移民局への住所変更届けを提出しなければなりません。

(住所変更届に関しては次のウエブサイトを参照のこと)

https://egov.uscis.gov/crisgwi/go?action=coa

さらに注意する点としては、永住権を取得した後に米国を1年以上継続して離れると、原則として永住権は失効することです。また、年間の大半を海外で過ごした場合でも、米国に永住の意思なしとみなされ、入国時に永住権を没収される可能性があります。長期不在中も永住権を維持するには、出国前に再入国手続きをとることです。再入国手帳は2年間有効で、延長は可能ですが、米国を離れている期間が長くなればなるほど、米国に永住する意思を証明するのが難しくなるため、5年以上米国を離れていると延長が難しくなります。

一方、市民権保持者にはそのような制限はなく、米国を長期不在にしても、海外の米国大使館や米国領事館を通してバスポートの延長申請をすることができるため、永住権保持者のように再入国手帳の延長のために一旦米国にもどる必要もありません。また、市民権保持者には選挙権が与えられ、連邦政府機関への就職も可能となります。移民局へ住所変更届けを提出する必要もありません。さらに、永住権保持者の配偶者が死去した場合、その遺産相続に多額な税金が課せられることもありますが、市民権保持者は夫婦間の遺産相続税は免税されます。さらに、市民権保持者は直近の家族(配偶者、子供、両親)の永住権をスポンサーすることができるのも大きな利点でしょう。しかしながら、注意すべき点は、日本政府は二重国籍を認めていないため、自らの意思で他国の市民権を取得した場合、原則として日本国籍を失ってしまうことです。日本国籍を喪失すると、日本には外国人として入国することになるので注意が必要です。従って、将来の希望居住地や子供の進学や就職場所も検討しながら、永住権と市民権のどちらが妥当かを判断をした方がよいでしょう。

米国市民権の申請は、米国市民との結婚により永住権を取得した場合は、永住権取得時点から米国内での滞在期間が最低3年経っていれば申請することができます。結婚以外の方法で永住権を取得した場合は、最低5年間必要です。永住権を取得してから海外で過ごした期間は米国滞在日数から差し引かれます。
尚、18歳から26歳の誕生日までの期間に米国市民権や永住権を保持した男性には兵役登録の義務があります。登録を怠った場合、市民権や政府の奨学金・助成金を申請できないことがあります。兵役登録を怠った場合、自分が登録を行わなかった理由書を市民権申請書類と一緒に提出します。事情によっては、兵役登録義務を免除される場合もありますので、登録免除の可能性があるか事前に専門家に相談した方がよいでしょう。

(義務兵役サービスに関する詳細は、次のウエブサイトを参照のことhttp://www.sss.gov/ <http://www.sss.gov/>

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帰任に伴う子供の教育事情

October 1st, 2009

日本から派遣される駐在員は一般に数年間勤務後日本に帰国しますが、最近の不況のあおりで事業閉鎖・統合・撤退などが相次ぎ、早めに帰任辞令がでることも多いようです。さて、本社に帰任する本人は元の部署に戻ることができますが、駐在員の子供が日本の授業や受験についていけるかという問題が出てきます。帰国子女枠で編入または受験をするためには、学校によっては海外の日本語学校で在学年数などを決めていることもありますので、帰任時期がかならずしも駐在員子女の帰国子女枠での編入条件を満たしているとは限りません。

子供は一般に9歳くらいまでは言語能力や異文化への適応性に長けており、外国語を比較的容易に取得することができます。したがって、小学生もしくはそれ以下の子供が日本に帰国しても、順応度にさほど問題はないようです。ところが、中学高校の思春期の大半を米国で過ごした場合、授業内容の異なる日本の学校システムにもどるのが難しいこともあります。反面、中学高校の子供をもつ父親が米国に赴任になった場合、日本に比べ子供は米国の教育に比較的容易についていくことができます。これは米国は多民族国家であり、様々な国からの子供をいつでも受け入れる体制ができているからです。もちろん、中には外国人などめったにいない学校地域への駐在となり、環境に適応できずに帰国をせざるを得ない子もいるようですが、大半の都市では問題はないようです。

現実問題として、日系企業は社内で家庭事情についてオープンに話し合うカルチャーを持ち合わせていないことが多いため、お互いに同じ問題をもちながらも、帰任直前まで問題の解決策を見いだせないまま、ひそかに悩んでいる駐在員が多くいることです。実際に筆者に相談がくるのも、帰任辞令が出てからの場合が多く、本社が子供の置かれた立場を理解していないといった状況をよく耳にします。たしかに異国で教育を受けた子供の置かれた環境は、単一民族国家である日本で生まれ育ったものには理解しがたい面があります。それ故に現地事情に詳しい皆様が子供の置かれた環境について本社に説明をしなければ、この問題は一向に解決にせず、新しく赴任する駐在員も引き続き同じ問題はかかえていくことになるでしょう。

最も多いパターンとして、父親の帰任後も日本の帰国子女枠の編入・受験の条件を満たすまで、残り数ヶ月間だけ米国に滞在したい場合と、父親の帰任後も引き続き米国で就学を続けたいという場合があります。父親の帰任と同時に家族も駐在員家族としての滞在資格を失いますので、帰国子女枠での編入まであと数ヶ月という場合は、帰任の時期を数ヶ月延ばしてもらえるか雇用主に相談することをすすめます。

帰任時期を変更してもらえない場合、親としては会社と子供の間に挟まれて、極端な選択を余儀なくされることもあります。中には、父親が不本意にも転職を考えざるを得なくなったり、また、母親がわざわざ受験をして学生ビザを取得し、子供を同伴家族として引き続き学校に通わせる人もいます。ただし、母親の学生ビサ申請の理由が自分の学業目的ではなく、子供の米国での就学目的であると判断されると、ビザ発行を拒否される可能性があります。子供自身が学生ビザを取得することもできますが、小学生と中学生は公立の学校に通うことはできません。高校生は1年間だけ公立校の学生ビザを取得することはできますが、学生一人当たりにかかる学費の支払いを義務付けられます。1年が過ぎたら私立校へ転校しなければなりません。子供が学生ビザに切り替えた場合、母親には家族用のビザはありませんが、ビザウエイバーや観光ビザで米国に入国することは可能です。

学生ビザには就労に関して様々な制限があります。大学生の場合、キャンパス内での就労はみとめられるものの、キャンパス外で就労するにはCurricular Practical Training (CPT) もしくは Optional Practical Training (OPT) という研修・就労許可を申請しなければなりません。いずれも特別な例外を除いては合計1年間までしか使うことができず、専攻分野と一致した職種にしか使えません。また卒業後H1Bなどの就労ビザへ変更申請することができますが、就労ビザの発行枠がなくなれば翌年までは就労ビザを申請できなくなります。したがって、就労ビザが取得できなければ、せっかくの内定も取り消されることになりかねません。このような子供の就労や就職活動の制限を回避する方法として、父親が帰任する前に永住権を申請することもできます。

父親が日本で一年以上管理職で、米国でも管理職である場合、第一優先枠で永住権を申請できる可能性があり、比較的短期間に永住権を取得することができます。仮に第二優先枠で申請したとしても、永住権の申請まで待ち時間がないため、およそ2-3年ほどで永住権の審査が終了します。ただし、第三優先枠で永住権を申請する場合は、永住権申請までの待ち時間が現時点で7年ほどあるので、かなり早めに永住権の申請を始めた方がよいでしょう。永住権を取得すれば、父親の帰任後も家族は引き続き米国に滞在することができます。

永住権を取得するもう一つのメリットとして、大学の学費があげられます。永住権を取得することにより、州内居住者の学費適用の対象となるため、州外の学生、または学生ビザや駐在員など短期就労ビザ保持者に課せられる外国人用の高額な学費を回避することもできます。また、米国市民や永住権保持者対象の奨学金やローンの申請も可能になります。さらに、永住権を取得していれば、子供は就学を行うかたわら、就労行うことも可能になります。ただし、永住権保持者は全世界の所得が米国の課税対象となるので、日本でうけとる退職金も米国の課税対象となります。注意すべき点として、子供が21歳に達した時点で、親の同伴家族として移民申請ができなくなるので、子供の年齢や大学への進学時期などを考慮し、早めに永住権申請準備の計画をたてることが良策だと思われます。

いずれにしろ、駐在員には帰任後の日本での受け入れ先を用意しているように、駐在員の子供に対しても、それぞれの学校の帰国子女の受け入れ条件など考慮し、日本の教育システムに柔軟に適応できるように配慮するようご検討いただきたく思います。また、本人の希望により、子供だけ米国での引き続き就学できるような選択肢も設けることにより、駐在員の精神的負担を少しでも軽減することができるでしょう。如何に優秀な企業戦士とはいえど、“はい、お父さん!”とビールを注いでくれる愛娘の将来がかかっていれば、親としてはなんとも難しい立場にたたされるのは、全世界共通の情理といえるのではないでしょうか。

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H-1B・L-1詐欺の取締りー企業突然訪問

September 1st, 2009

昨年度より移民関税執行局 ICE = Immigration and Customs Enforcement による不法移民の取り締まりが強化されており、企業訪問・調査などで大量の不法移民が逮捕され、国外退去処分となっている。最近ではさらに、不法移民のみならず、短期就労ビザ保持者に対しても取り締まりが強化されている。対象となっているのは、詐欺防止費用の支払いを義務づけられているH-1BL-1ビザの社員を雇用している企業である。この調査は昨年度移民局が行ったH1B詐欺レポートの調査結果によるもので、調査対象となった企業の20.7% H-1B法律違反と判断された。最近の大掛かりな調査は、この違反率を下げる目的である。

訪問・調査の対象となる企業は無作為に選ばれているとの報告ではあるが、詐欺の傾向が多い企業として、従業員25名以下の企業、売り上げ$10ミリオン以下の企業、創業10年未満の企業などがあげられている。職種では会計、人事、ビジネスアナリスト、セールス、広報関連職、さらに修士号を必要とする職よりも学士号を必要とする職種に比較的詐欺が多いとみられている。

訪問の形態として、移民局は雇用主に事前の通知なしに、外部の調査機関を通して企業訪問を行い、会社の代表者とH-1B社員に対して基本的な質問を行っている。質問の内容として、事業内容、事業所の数、総社員数、H-1Bの社員数、H-1B社員のポジションタイトル・職務内容・学歴・給与額・勤務時間などがあげられる。給与明細、W-2H1B申請書類の提示をもとめられることもある。

調査内容としては、勤務地、ポジションタイトル、職務内容、学歴が申請内容と一致しているか、平均賃金を遵守しているか、さらに申請費用を雇用主が負担しているかなどである。移民法上では移民局への申請費用のうち、詐欺防止費用の$500ACWIA追加申請費用の$1,500 (社員25名以下の場合は$750) は雇用主負担と義務付けられている。労働局はさらにH-1Bの基本申請費用の $320 と弁護士費用もすべてビジネス経費として、雇用主の負担としている。その上、社員に負担させた額を年間給与から差し引いた額が平均賃金より下回ると、平均賃金の違反になるとみなしている。違反がみつかれば、調査団体は更なる調査のために移民関税執行局に報告するか、もしくは平均賃金違反などの場合は労働局から再度調査が入る可能性もある。

このような企業訪問は比較的新しい現象であるため、移民局の動きを引き続き見守る必要があると同時に、雇用主はいつでも必要な情報を提供できるように、社内で保管を義務づけられているH-1BPublic Access File LCA情報)に平均賃金や給与情報、さらにLabor Condition Application (LCA)H-1Bポジション情報の掲示確認書が保管されているかを再確認し、その他コンプライアンス(法律遵守)に漏れがないか、十分に確認する必要がある。

実際にこのような召喚状や捜査状をもたない、事前予告なしの企業訪問に対して、雇用主が協力する法律上の義務はないが、調査員を目の前に質問に答えなければ、何か隠し立てしているのではないかと疑われる可能性もあることから、協力するほうが無難であるかもしれない。担当者が出社するまで半時間から一時間ほどまってもらうくらいはよいかもしれないが、その場の状況に応じて臨機応変に対応することが大切である。ただし、分からない質問にむやみに答えないほうが無難であろう。状況や内容が分かる人に答えてもらうのが良策である。また、すぐに担当弁護士に連絡を取ることをすすめる。もちろん、調査員の身元を必ず確認し、担当者名と連絡先は控えておくことも忘れないように注意すること。

Eビザ審査の厳格化

Eビザに関しては、詐欺防止費用の支払いがないためか、今のところ調査の対象にはなっていないようである。しかしながら、Eビザの審査は米国移民局で申請する場合も、日本の米国大使館で申請する場合も、いずれも大変厳しくなっている。特に非管理職の職種 (Essential Skills/Knowledge positions) に対して、審査が大変厳しくなっている。この不況のせいか、単なる審査の厳密化なのか、昨年度からは、非管理職の職種の申請に対し、移民局はかなりの追加証拠の要請書を発行しはじめている。最近の追加証拠の要請の特徴として、本人の技術の特殊性や雇用主にとって必要不可欠な技術であることの証明を要請する以外にも、必ずといってよいほど、同じような技術を持ちあわせた人材(米国市民や永住権保持者)をアメリカでは採用できないことを商工会議所や州の雇用斡旋機関等を通じて証明するように要求している。日本語ができるだけでは不十分としており、米国にいる技術通訳や翻訳者では業務がこなせないことを証明しなければならない。管理職の申請であっても、小規模な企業や専門的技術や知識を持った部下がいない場合は、組織の中で如何に重要な機能を管理監督しているかを詳しく説明しなければならない。

以上、日系企業がよく使うビザ種類はいずれも審査が厳しくなっているため、申請書類には十分な配慮を配ると同時に、申請後の監査にそなえて、企業内にて必要な書類を完備保管しているか、確認することが重要であろう。

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永住権の申請 ー家族による申請

August 1st, 2009

さて、永住権申請には雇用主による申請、個人での申請、家族による申請、抽選による申請などがありますが、今回は結婚に基づく永住権申請について紹介します。結婚による永住権の申請には主に米国市民との結婚によるもの、もしくは永住権保持者との結婚によるものがあります。

米国内で米国市民との結婚による永住権の申請を行うには、外国人家族用移民申請書 (Form I-130 Immigrant Petition) と永住権申請書 (Form I-485 Application to Register Permanent Residence or to Adjust Status) を同時に移民局に提出します。審査期間は通常約1年程要しています。永住権の申請時点で、米国人配偶者と外国人配偶者の結婚暦が2年未満であった場合、偽装結婚ではないことを証明するために、最初に2年間の条件付の永住権が発行されます。この条件付永住権の有効期限が切れる前の90日間に永住権の条件を取除く申請 (Form I-751 Petition to Remove Condition on Residence) を提出することにより、10年間有効な永住権を申請することができます。この時に、条件付永住権を発行されてから、引き続き有効な結婚関係を保っていた証拠資料を提出します。申請者によっては、2回目のインタビューを要請される場合もあります。もしこの間に離婚が成立した場合、通常は永住権の更新はできなくなりますが、例外としてWaiverを申請できる場合もあります。Waiverを申請できる主な証拠理由として、本国へ帰国すれば極度な苦境に陥ること、結婚当初は善意の婚姻であったこと、あるいは配偶者の暴力や残虐行為の被害者であること、などがあげられます。それぞれの理由の証拠資料が必要となりますので、専門家に相談するのがよいでしょう。

永住権の申請中に米国外に旅行する場合、移民の意思を表明してもよいH-1BLビザで米国を出入りするか、もしくは永住権申請と同時に旅行許可証(Advance Parole)を申請し、この許可証をもって米国を出入りすることができます。ただし、米国滞在歴に違反があった場合は、その理由によっては入国を拒否される可能性もありますので、旅行許可証が認可されていても必ずしもつかえるわけではありません。また、永住権申請と同時に就労許可証を申請できますので、この許可証でソーシャル・セキュリティー・ナンバーを申請し、永住権が認可されるまで就労を行うことができます。

永住権保持者との結婚は米国市民との結婚とは異なり、年間発行枠が設けられているため、すぐに永住権の申請を行うことはできません。まず、永住権配偶者が非永住権配偶者のために外国人家族用移民申請 (Form I-130 Immigrant Petition)行い、年間発行枠の順番がまわってくるのを待って本人が永住権の申請を行います。永住権申請までの待ち時間は現時点においておよそ5年ほどありますが、この待ち時間は随時変わっていますが、国務省が毎月発表しているVisa Bulletinhttp://travel.state.gov/visa/frvi/bulletin/bulletin_1360.html)で待ち時間をチェックすることができます。

永住権保持者との結婚の場合は、外国人家族用移民申請書を提出した後、永住権を申請するまでの間は、旅行許可証(Advance Parole)も就労許可証も申請できません。従って、この間に非永住権配偶者が米国外への旅行や米国内での就労を希望する場合は、移民の意思を表明してもよいH-1BLビザなどの滞在資格を維持していれば、H-1BLビザで米国内での就労、海外旅行を行うことができます。なお、現在議会に移民法改正案が提出されていますので、永住権保持者の配偶者が、米国市民の配偶者同様の待遇を与えられるかどうか、議会の今後の動きを見守る必要があります。

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国際企業管理職の永住権申請

July 1st, 2009

日本から米国に派遣される多国籍企業の役員・管理職は、主にLビザやEビザで赴任しますが、Eビザには延長回数に制限がないのに比べ、Lビザ管理職の滞在期間は最長7年までです。7年目以降も米国で就労するには、Eビザに変更するか、永住権を申請する方法があります。

雇用主スポンサーによる永住権の申請には5つの優先枠がありますが、多国籍企業の役員・管理職は審査時間が比較的に短い第一優先枠に該当する可能性があります。第一優先枠で永住権を申請する場合、労働局に申請する外国人労働許可申請 (Labor Certification) の過程を省くことができるため、永住権取得までの時間が大幅に短縮されます。つまり、労働局を経ずに直接移民局に外国人労働者移民申請 (Form I-140 Immigration Petition for Alien Worker)と永住権申請 (Form I-485 Application to Register Permanent Residence or to Adjust Status)の申請を行います。

米国駐在の役員・管理職の場合、海外の関連会社で渡米前の3年間のうち1年以上の海外の関連会社で勤務経験があり、管理職として渡米しているのであれば、第一優先枠の多国籍企業の役員・管理職(International Managers and Executivesというカテゴリーで永住権の申請を行うことが可能です。しかしながら、この多国籍企業の役員・管理職の条件を、Lビザ管理職 (L-1A) の条件よりさらに厳しくみる審査官もいますので、米国でL-1A管理職として勤務していても、必ずしも第一優先枠の多国籍企業の役員・管理職として認められるわけではありません。たとえば、会社規模が小さい、監督する部下が少ない、または技術的業務内容が比較的に多い場合など、第一優先枠の管理職とは見なされにくい場合もあります。

駐在員が永住権を申請するメリットとしては、本人に帰国・転勤命令がでても、子供が引き続き米国で学校に通える、大学学費の減免、各種奨学金やローンの申請、就学中のバイトなどがあげられます。特にここ数年間は大卒用のH1B就労ビザ枠が大幅に不足しており、さらに近年の不況に伴い各種就労ビザの審査が大変厳しくなっているため、内定をもらっても就労ビザが取得できないという事態が多発しています。このような中でビザにとらわれない就職活動ができるというのは、大きな利点といえるでしょう。注意点としては、子供が21歳に達した時点で、親の同伴家族として移民申請ができなくなるので、子供の年齢や大学への進学時期などを考慮し、早めに永住権申請準備の計画をたてることが良策だと思われます。

永住権取得に伴うディメリットとしては、全世界の所得が課税対象となるため日本の退職金も課税対象となる、米国に収入がなくなってもタックスリターンを提出する義務があること、などがあげられます。また、米国を継続して1年以上離れていると永住権は失効してしまいます。また、1年の半分以上を米国外で過ごした場合も米国に永住の意思なしとみなされ、入国時にグリーンカードを没収されることもあるので注意が必要です。したがって、米国を不在中も永住権を維持したい場合は、出国前に再入国手続きを行う方法もありますが、個々の事情に関しては弁護士の意見を求めたほうがよいでしょう。

第一優先枠にはそのほかにも(1) Aliens of extraordinary ability (傑出した業績をあげた外国人)や(2) Outstanding professors and researchers (並外れた実績のある大学教授や研究者)というカテゴリーもあります。

Aliens of extraordinary abilityに該当するには、申請者が科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツなどの分野で世界的に傑出した業績をあげたことを証明しなければなりません。このカテゴリーは雇用主のスポンサーは必ずしも必要ではありませんので、個人での申請も可能です。ただし、申請者が米国内でこの特定分野で引き続き就労を行うことを証明する必要があります。“Extraordinary ability”を証明するには、申請者がその分野でトップクラスの技能を有していることを証明します。ノーベル賞やアカデミー賞の受賞などはその証拠となるでしょう。このような国際的な賞でなければ、その他の証拠を3つ以上提示しなければなりません。例えば、国際的もしくは全国レベルの賞の受賞、専門団体の会員、研究内容の出版や発表、他の研究者の研究内容の審査、申請者に関する記事、企業や団体内での指導的役割、並外れた報酬、学会もしくは業界への貢献度、あるいはその他申請者の成功などに関する証拠を提示しなければなければなりません。

Outstanding professors and researchersに該当するには、まず申請者の 研究能力や業績が国際的に評価されていること、その研究分野で最低3年間の教職もしくは研究経験があること、さらに大学での教職、もしくは研究機関や私企業でこれに匹敵する研究職に従事することを証明しなくてはなりません。上記の条件を満たせば、申請者はその研究が如何に卓越しているかを証明するために、さらに2種類以上の証拠を提出しなければなりません。例えば、研究業績に対する賞の受賞、専門団体の会員、研究内容の出版や発表、他の研究者の研究文章への引用、他の研究者の研究内容の審査、学会もしくは業界への貢献度などを証明しなければなりません。

それぞれ審査時間は現時点では、およそ412ヶ月ほどかかっていますが、審査時間は頻繁に変更するので、その都度審査時間を確認した方がよいでしょう。また、移民局は2009629日から雇用主による移民申請書類のプレミアムプロセシング(特急審査)を再開する旨を発表しました。これに伴い、第一優先枠ではAliens of extraordinary abilityOutstanding professors and researchers のカテゴリーで申請する人は、プレミアム料金の$1,000を支払えば、審査を15日以内に終了することができるようになりました。しかしながら、第一優先枠の多国籍企業の役員・管理職は、プレミアムプロセシングの対象からははずされています。

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雇用による永住権の申請

June 1st, 2009

雇用主スポンサーによる永住権の申請過程は (1) 外国人労働許可の申請;(2) 外国人労働者移民申請;(3) 永住権申請の三段階に分かれます。

(1) 外国人労働許可の申請 (Labor Certification Application)

まず最初に、雇用主が労働局に対して外国人労働許可申請の申請を行いますが、雇用主は求人広告を掲載した結果、米国市民や永住権保持者で最低資格条件を満たす人材がいなかったことを証明しなくてはなりません。この証拠として雇用主の勤務場所に10日間の内部求人広告掲示、地元の政府機関に30日間の求人広告掲示を行うほか、地元で有力な新聞の日曜版に2回求人広告を載せます。さらに、“professional”な職種に該当すれば、この他にもジョブフェア;雇用主のウエブサイト;インターネットを使った求人広告 ;キャンパスでの求人活動;専門雑誌や業界新聞広告 ;就職斡旋会社 ;報酬付社員紹介制度 ;大学の就職課 ;ローカル新聞もしくはエスニック新聞 ;ラジオやテレビ広告、の中から3つの広告媒体を選び求人広告を載せる必要があります。すべての広告義務を果たし、米国市民や永住権保持者で該当者がいなかったら、オンラインにて外国人労働許可申請書を提出します。

しかしながら、2008年度後半から審査時間が大幅に遅れており、従来予定されていた45~60日の審査時間が今では9ヶ月まで長引いています。また、監査に回された書類は19-20ヶ月ほどかかっているようです。したがって、それぞれの滞在資格の有効期限には余裕をもって申請することが大切です。

 (2) 外国人労働者移民申請 (I-140 Immigrant Petition for Alien Worker)

外国人労働許可申請が承認されたら、雇用主は次に外国人労働者移民申請書を移民局に提出します。この審査期間は、申請枠や申請場所によってかなりの差がありますが、現時点において約4~20ヶ月年程要しています。外国人労働者移民申請には次にあげる5つの優先順位があり、それぞれ申請の待ち時間がことなります。

第一優先枠(EB-1)-科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツなどの分野で世界的に傑出した業績をあげた外国人、傑出した大学教授や研究者多国籍企業の役員・管理職

第二優先枠(EB-2)―科学、教育、ビジネス分野で優れた能力をもつ外国人、大学院卒業以上の学位保持者

第三優先枠(EB-3)-第二優先枠に該当しない大学学士以上の学位保持者、熟練・非熟練労働者

第四優先枠(EB-4)-宗教活動従事者

第五優先枠(EB-5)-投資家

申請者が第一優先枠に該当すれば、第一段階の外国人労働許可申請の申請過程を省くことができるため、永住権取得までの時間を大幅に短縮することができます。LやEビザ保持者で海外の関連会社で1年以上の管理職経験があれば、第一優先枠の“多国籍企業の役員・管理職”という項目に該当する可能性があります。駐在員の家族も一緒に永住権を申請できるので、子供のいる家庭では、大学の学費減免、奨学金の申請、就労の自由、などといったメリットがある反面、父親にとっては日本での退職金も米国の税金の対象になるといったディメリットもあります。子供は21歳をすぎると、親の同伴家族として永住権の申請はできなくなるので、時間には余裕をもって申請したほうがよいでしょう。子供が21歳になると、親の同伴家族としてEやLビザも維持できなくなるため、その場合、子供だけ学生ビザ、もしくはその他のビザ滞在資格に変更することになります。

(3) 永住権申請

(I-485 Application to Register Permanent Residence or Adjust Status)

外国人労働許可申請と外国人労働者移民申請が完了したら、最後に申請者本人が永住権の申請を行います。ただし、それぞれの優先枠には年間枠が割り当てられており、第3優先枠は2009年5月時点では枠がありませんが、10月から新年度の枠が割り当てられます。通常は3年から5年間ほどの待ち時間があります。第1と第2優先枠には、日本国籍保有者には2009年5月時点では待ち時間がありませんので、上記の外国人労働者移民申請と一緒に永住権の申請も提出することができます。永住権の審査時間は、現時点で20ヶ月程要しています。

永住権申請中の海外旅行に関しては、移民の意思を表明してもよいH-1BやLビザ保持者は、永住権申請中もH-1BやLビザで米国を出入国することができます。移民の意思を表明してはいけないB1/B2、F-1、J-1やEビザ保持者は、これらのビザでの米国への入国は拒否される可能性があります。この場合、永住権申請と同時に旅行許可証(Advance Parole)を申請すれば、永住権申請中も米国に出入りすることができます。ただし、この旅行許可証で入国すると、入国時にI-94上の滞在資格が“Parolee”となるため、今までの滞在資格を失うことになります。また個人の情況によってその他さまざまな注意事項があるため、担当弁護士に相談しながら、申請を進めていった方が無難でしょう。

また、永住権申請中に就労を希望する場合は、永住権申請と同時に就労許可証を申請することができます。現在の就労ビザの滞在資格がきれても、この就労許可証で引き続き就労することができます。配偶者も就労許可証を申請し、就労することができます。尚、就労許可証の使用に関しても、個人の情況によってその他さまざまな注意事項があるので、担当弁護士に相談しながら、申請を進めていった方が無難でしょう。旅行許可証、就労許可証ともに有効期限が切れる3-4ヶ月前には延長申請を提出することが望ましいでしょう。

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企業研修ビザ

May 1st, 2009

日本から米国の関連会社に社員を派遣する場合、EビザやLビザが主に使われます。ELも役員・管理職もしくは特殊知識技能保持者に使われるビザです。ところが、入社後間もない社員を派遣する場合は、これらビザが該当しない場合があります。もちろん、日本や米国外での関連会社での経験が1年なければLビザは申請できません。また、職務経験が浅ければEビザの条件である雇用主に特有な特殊知識技能を保有しているとはみなされない場合があります。職務経験がなくても、大学の専攻と職務内容が一致していればH-1Bを申請することができます。ただし、H-1Bの就労開始時期は早くて同年の10月以降なので、すぐに就労を始めることはできません。またH-1Bには年間枠がきめられていますので、その年の枠を達成してしまったら、翌年の申請までまたなければなりません。このような場合、研修ビザが考えられます。職務経験の浅い社員を米国の関連会社に派遣してトレーニングを受けさせる目的であれば、研修ビザが妥当だといえるでしょう。以下に研修ビザとして使われるJ-1H-3B-1ビザについて説明します。

研修ビザにはJ-1H-3の2種類ありますが、いずれも企業内研修を通じて自国では得られないような技術を米国で学ぶことにより、研修終了後は自国に帰り、その知識や経験を生かすことを目的としています。これらはいずれも“移民の意志”を表すことが認められないビザであるため、研修後は本国へ帰る意志があることを証明する必要があります。

 

J-1企業研修

2007年7月の規定変更により、J-1企業研修はインターン・プログラムとトレーニング・プログラムの2種類に分けられました。インターン・プログラムは大学や短大などの学生、もしくは卒業後1年以内の者が対象で、最長12ヵ月までその専門分野で研修を行うことができます。一方、トレーニング・プログラムはアメリカ以外の国の大学や短大などを卒業した者が対象で、1年以上の関連職務経験が必要とされ、最長18ヵ月まで研修を行うことができます。その他の人は、米国以外の国で最低5年間の関連職務経験があることが条件です。旅行・サービス業界での研修は最長12ヵ月です。この規定変更により、初めてJ-1研修を申請する企業は、J-1スポンサーから研修実施場所の現場視察を受けることを義務付けられました。ただし、社員が25名以上、もしくは年収が$3ミリオン以上ある企業は、この視察義務を免除されます。

 

J-1企業研修プログラムは (1) そのような研修が本国では受けられないこと、(2) 研修で身につけた知識や技術が本国で役に立つこと、(3) 研修終了後は本国に帰る意思があること、そして(4)研修を受けるために必要な英語力を備えていることを証明しなければなりません。J-1企業研修は、研修や技術の向上が主目的であるため、正規従業員のように働くことはできません。

 

申請方法は、まずはJ-1プログラム団体として認可された交換プログラム機関にJ-1プログラム申請書類を提出し、研修内容を国務省指定のフォームDS-7002に要約し提出します。申請書類および研修内容が認可されると、J-1プログラム団体はJビザ資格証書であるDS-2019(Certificate of Eligibility for Exchange Visitor Status)を発行します。申請者は日本もしくは米国外の米国大使館・領事館に面接予約をとり、DS-2019とビザ申請書類を提出し、J-1ビザの申請を行います。J-1ビザが発行されたら、研修開始30日前から米国に入国することができます。入国後、J-1スポンサーに報告を行うと、J-1スポンサーは研修開始の旨をSEVISシステムに入力します。そこで初めてJ-1の滞在資格が確定されます。J-1スポンサーへの報告を怠るとJ-1の滞在資格が抹消されますので注意が必要です。

 

§       2年間の本国滞在要求

J-1申請者の出身国・最終居住国や研修内容によっては、研修終了後は習得した知識や経験を生かすために2年間は本国もしくは最終居住国に帰らなければならないという規定があります。この2年間の滞在条件を満たさなければ、その後Hビザ、Lビザ、Kビザや移民ビザは発給されません。例外として、外交官や政府職員ビザ申請への影響はありません。幸い、日本国籍保有者にこの規定があてはまることはめったにありません。

この2年間の本国滞在要求の免除を申請することも可能ですが、米国政府や海外の政府機関の出資による研修プログラムの場合は、免除を申請する理由は限られてきます。有効な免除理由として次のものがあげられます。(1)本国政府政府から“No Objection Letter”を発行してもらう;(2)米国の政府研究機関かにJ-1 Waiverのスポンサーになってもらう;(3)自国政府からの迫害の可能性があることを証明する;(4)自国への帰国が申請者の配偶者もしくは子供(米国市民もしくは永住権保持者)に多大な困難をもたらすことを証明する;(5)医師が不足している医療施設にスポンサーになってもらう。

§       配偶者

J-1研修生の配偶者および21歳未満の子どもは家族用のJ-2ビザを取得することができます。また、J-2配偶者はJ-1スポンサーの許可があれば、移民局に就労許可証を申請し、働くことはできますが、配偶者の収入がJ-1研修生の生活を援助するものであってはいけません。

H-3企業研修

職務経験者を対象とするJ-1に対し、H-3は未経験者を対象としています。したがって関連分野での経験や学歴や知識がある人、もしくはF-1学生のOPTトレーニングの延長だと判断された場合は、H-3は認められません。また、H-3企業研修は、教室内での講習に重点をおいているため、オン・ザ・ジョブ・トレーニングは必要最小限にとどめる必要があります。また、J-1同様、H-3研修は正規従業員にとってかわるような生産的な業務(”Productive work”)に携ることはできません。H-3研修の最長期間は2年間ですが、2年間を使いきってしまうと国外に6ヶ月間滞在しなければ再度H-1BやLビザで米国に入国することができなくなります。H-3の配偶者(H-4)は就労許可証を申請することはできませんが、その他の就労ビザへ滞在資格を変更することはできます。

申請方法は、申請書類と研修プランを添付資料と共に米国移民局に提出します。米国内に他のビザ資格で滞在している人は、米国内で滞在資格の変更手続きを行うことができます。海外にいる方は、移民局からの認可通知書をもって海外の米国大使館でビザの申請を行い、米国に入国します。申請方法については個人の事情によって異なりますので、事前に専門家の意見を求めることが大切です。

B-1 短期商用ビザ

短期間の研修であればJ-1H-3のかわりにB-1短期商用ビザを申請することも可能です。B-1ビザで研修を行う場合は、研修中も日本もしくは米国外の企業での雇用関係が続いていること、報酬は米国外の企業から支払われることが条件ですまた、修理技術者など米国顧客に販売した機械・機器の設営、運営、修理のために米国人の研修を行う場合もB-1ビザを申請が可能です。ただし、報酬は日本の企業から支払われ、研修が行われることが売買契約書に明記されていることが条件です。

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Eビザと出身国による差別

April 13th, 2009

日本からの派遣社員に使われるビザにはEビザとLビザがあります。今回はこのEビザの申請方法、また差別クレームがついた際の特殊性について説明いたします。

Eビザとは米国と通商航海条約を締結している相手国にのみ適用される非移民ビザのことで、Lビザとは異なり、申請者は条約締結国の国籍保有者に限ります。Eビザの配偶者および21才未満の子供にも同伴家族としてEビザが発給されます。配偶者は就労許可を申請することができ、特別の制限なしに就労することができます。

EビザにはE-1(条約貿易ビザ)とE-2(条約投資家ビザ)の2種類があります。E-1貿易ビザを申請するには、まずアメリカにある会社の資本50% 以上が日本出資でなければなりません。さらに、日米間において相当量の貿易量があり、且つ、全世界の取引高の51%以上が日米間の取引であることが条件です。

E-2投資家ビザはE-1ビザ同様、アメリカにある会社の資本50% 以上が日本出資でなければなりません。ただし、個人投資家の場合、米国の永住権を取得した時点で、E-2投資家としての資格を失うので注意が必要です。このビザは米国内に投資をし、アメリカ人に会社運営に不可欠な技術を教育・訓練する為に赴任する日本人に認められるビザです。また、投資内容は積極的に事業経営を行うものでなければならないため、事業経営を伴わない単なる資金投資や、消極的な不動産投資などはE-2の投資としては認められません。新規事業投資の場合、事業計画を裏付けるために、ビザ申請時に事業計画、設備投資計画、従業員雇用計画、収益予想などの資料を提出することが重要です。投資額に規定はありませんが、業種や地域などによって異なるため、専門家に相談したほうがよいでしょう。

Eビザは、役員・管理職もしくは特殊技能・知識保有者に適用されるため、関連職務経験のない新卒者に使われることはめったにありません。また、Eビザの申請者はH-1Bとは異なり、学歴の他に職歴を重点的に審査されますが、EビザはLビザとはことなり、必ずしも関連会社での職務経験を条件とはしていません。雇用主、関連会社、もしくはその他の企業で関連職務経験が最低1年はあった方が無難でしょう。

Eビザの申請方法には2通りあり、日本の米国大使館や領事館で直接Eビザスタンプを申請する方法と、米国移民局にEビザへの滞在資格(I-94)変更を申請する方法があります。日本の米国大使館もしくは領事館でEビザを申請する場合は、5年間有効なビザが発行されます。会社が存続し、利益をあげている限り、ビザの延長回数には制限はありません。ビザが有効な間は米国に数次入国することができ、入国時には毎回2年間有効な滞在資格を記したI-94カードを渡されます。滞在資格を延長するには、I-94カードの有効期限が切れる前に一旦国外にでて再度米国に入国し、入国時に新たなI-94を取得するか、または、米国内にて移民局に滞在資格の延長申請を行うことができます。

すでに米国国内で有効なビザで滞在している人は、米国内でEビザに滞在資格を変更することもできます。この場合、米国移民局に2年間のEビザ滞在資格を申請します。また、移民局に特急料金を支払えば、申請書類に問題がなければ、15日以内に審査を終了することができます。追加証拠の要請がくれば、証拠を提出してから、さらに15日以内に審査がされます。ビザウエイバーで入国した人は、特定の例外を除いては、米国内で滞在資格を変更できません。

米国でEビザ滞在資格を申請した場合、新しい滞在資格を取得します。つまり承認通知書にE-1/E-2と書かれたI-94カードがついてきますが、ビザスタンプは発行されません。したがって、国外に出る場合、出国時にI-94カードを提出してしまうため、米国に再入国するためには在日米国大使館か米国領事館でEビザスタンプの申請を行わなければなりません。ところが、EビザはLビザやH-1Bとは異なり、在日米国大使館・領事館は、米国移民局が発行したEビザ滞在資格の承認通知書(Approval Notice)を受け付けません。在日米国大使館や領事館は独自の審査基準に基づいて、Eビザの資格を新たに審査します。従って、米国移民局がEビザ滞在資格を承認しても、在日米国大使館や領事館もEビザを承認するといった保証はありません。

さて、今回の不況のあおりで事業閉鎖や人員削減、さらに就労時間の削減など各地であいついでいますが、日本人以外の社員だけを対象に特別な措置をとった場合、公民権法第7章の出身国による違法差別行為であるといったクレームがつくことがあります。公民権法第7章の対象となるのは社員を15名以上雇用している企業です。ところが、米国子会社の人事政策や事業経営など重要な決定事項に対しすべて日本の親会社からの指示が出ている場合、たとえ米国子会社が15人以下であっても、日本の親会社が公民権法第7章上の雇用主とみなされることもあるので注意が必要です。ただし、日米間の友好通商航海条約の条約国の企業には、役員・管理職や特殊技能・知識保有者の雇用に際し、自国民優先の権利が与えられているため、裁判地区によっては、日本人だけを優遇しても出身国による差別クレームが当てはまらないこともあります。自国民優先の必要性を証明するためには、Eビザの駐在員がアメリカ人ではできないような日系企業特有な高度な知識を必要とする業務を遂行していることを証明しなくてはなりません。しかしながら、出身国差別訴訟の判決文には、管轄裁判地区によって解釈にかなりの差があるため、雇用主は会社所在地管轄の裁判判決を把握し、出身国による差別のクレームに対し、社内で確固たる防御体制を築いているか確認する必要があるでしょう。  

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人員削減とビザ、滞在資格の維持

January 22nd, 2009

今回の世界的不況で、倒産もしくは大量解雇が世界的規模で相次いでいる。そこで、解雇にかかわる雇用法上の問題および非移民滞在資格の留意点を以下に説明する。

日本では従来は終身雇用制が定着していたが、米国ではほとんどの州で任意の雇用 (Employment At Will) が原則である。これらの州では、雇用主は法律に触れない範囲で、社員をいつでもいかなる理由でも解雇することができる。ところが、雇用主が差別行為を意識していなくても、人種、性、出身国、宗教など公民権法第7章にかかわる差別的解雇と、被解雇者から不当解雇のクレームがつくことがある。さらに、米国には日本のような定年退職制度がないため、賃金の高い高齢者だけを解雇すると年齢による差別的行為とみなされる可能性もある。セクハラなど社内での違法行為を告発した者を解雇した場合、もしくは、組合活動参加など法律上被雇用者に与えられた権利の行使を理由に解雇した場合、違法な報復措置とみなされる。

個別の雇用契約が存在する場合は解雇が契約違反にならないか、雇用契約が存在しない場合でも雇用を保証するような発言や記載がないかを確認する必要がある。また、組織労働者の場合は労働協約に違反しないよう、専門家の意見を求めること。従業員が100人以上いる企業が企業閉鎖もしくは大量解雇する場合は、WARN (Worker Adjustment and Retraining Notification Act ) 法により従業員に60日前の通告を義務付けられる。州によってはさらに規制を設けているところもあるので注意が必要。その他、解雇手当や会社を起訴しなという権利放棄書(Release of claims)が必要かどうか、専門家の意見を求めることが重要である。

これら差別行為や違法行為が存在しないことを証明するために、雇用主は社内規則やルールを見直し、問題処理の相談窓口を設け、職責と賃金レベルを明確にし、社員を平等に取扱うよう心がけることが大切である。また、日ごろから従業員の評価記録(怠慢、成績不良、無断欠勤)を随時更新し、また差別発言がないように管理職教育などを行うなど、雇用主は確固たる防御体制を築くことが重要である。

次に、就労ビザや学生ビザ保持者を解雇する際の留意点をあげる。F-1の学生は卒業後OPT(Optional Practical Training)の就労資格で12ヶ月間就労することができるが、 STEM(Science, Technology, Engineering, Mathematics) 専攻の学生 OPTをさらに 17ヶ月間延長することができる。STEM学生を17ヶ月の延長期間中に解雇する場合、雇用主は学生の解雇や帰国を大学のInternational Students Officeに報告する義務がある。

J-1企業研修を途中で中止する場合は、その旨をJ-1スポンサーに報告する。F-1保持者とJ-1保持者の滞在資格は移民局のSEVISシステムに管理されているため、学校やスポンサーは雇用・研修・解雇情報をシステムに記録する。

H-1B保持者を承認期限前に解雇する場合は、雇用主は本人が本国に帰国する渡航費用を負担する義務がある。移民局への解雇通知を行わないと雇用主責任が続行するため、将来再度H-1Bで雇用する予定がない場合は、すみやかに移民局に通知を行ったほうが無難である。また、H-1Bには平均賃金遵守の規定があるため、労働局にも労働条件申請書 (LCA=Labor Condition Application) の取下げ通知を行う必要がある。これを怠ると雇用主の賃金支払い義務が続行するため、訴訟問題などがおきた場合には、解雇後もLCA有効期間中の未払賃金としてバックペイの支払いを命じられることもある。

給与や就労時間の削減を行う場合、H-1B社員に関しては平均賃金違反にならないよう注意する必要がある。給与を削減する場合は平均賃金を下回らないよう注意しなければならない。また、勤務時間を削減する場合は、H-1Bをフルタイムからパートライムに変更するために訂正申請書を移民局に提出しなければならない。

さて、解雇された後の滞在資格について説明する。F-1学生はOPT期間中であれば、転職は自由にできる。就職・退職などの雇用情報はその都度International Students Officeに報告する。12ヶ月間のOPT期間中に合計90日以上(STEM学生の場合29ヶ月の OPT期間中に合計120日以上)非雇用状態が続くと、OPTは無効となってしまうので注意が必要。OPT終了から60日以内にF-1の滞在資格(I-20)を更新するか、もしくはその他のビザ滞在資格へ変更申請をすれば、米国での滞在資格を保つことができる。ただし、ビザの種類によっては移民局の方針が随時変更する可能性があるため、専門家に相談すること。

J-1企業研修生は、研修終了後に30日の猶予期間があたえられるため、それまでにその他のビザ滞在資格に変更申請を行うことができる。研修が途中で中止になった場合は、その翌日から滞在資格を失う。研修が中止する前にほかのビザ滞在資格に変更申請をすれば、米国での滞在資格を保つことができる。

H-1B保持者は承認期間を完了すれば10日間の猶予期間があたえられるが、H-1B雇用が途中で終了した場合は、翌日から滞在資格を失う。ただし、H-1Bに限ってPortability の適用があるため、H-1B雇用関係が終了する前に、次の雇用主のH-1B申請を移民局に提出すれば、承認を待たず翌日から新雇用主のもとで就労を開始することができる。解雇されてから次の就職先が見つかるまで間があいた場合は、H-1Bは米国内での滞在資格の変更ではなく、海外でのビザ申請(Consular Processing)として申請する。この場合、H-1Bが承認されたら、海外の米国大使館でビザ申請を行い、再入国することになる。

オーバーステイが180日を越えると、3年間は米国に入国禁止となる。これが365日を超えると、米国には10年間は入国禁止となるので注意が必要。オーバーステイをすると、ほとんどの場合米国内にて滞在資格の変更申請を行うことはできないが、オーバーステイが180日を越えなければ、海外でビザを申請して再入国することは可能である。ただし、近年オーバーステイへの見方が厳しくなっているため、滞在資格を失う前に速やかに国外に出るのが無難である。滞在中に滞在資格に違反がなければ、その後はビザウエイバーや観光ビザで入国し、就職がみつかれば、再度就労ビザを申請して入国することも可能である

尚、2月20日(金)、3月3日(火)、3月11日(水)の2時(東部時間)から3時間にわたりに日本人幹部のための電話回線を使用した人員削減に関する法律セミナーが行われます日系企業のレイオフに関する諸問題や人事諸政策につき、オグルツリー・ディケンズ法律事務所の本間弁護士により日本語で講義がおこなわれます。問い合わせは筆者まで連絡ください。

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ビザ免除プログラムESTA/自由選択法案EFCA

December 31st, 2008

ビザ免除プログラム・電子渡航認証 (ESTA) システム

2009112日より、全てのビザ免除プログラム (VWP) 参加国の国民は、ビザウエイバー(ビザなし)で渡米する前に渡航認証 (Electronic System for Travel Authorization: ESTA) を取得することが法律で義務づけられます。

https://esta.cbp.dhs.govのウェブサイトを通してESTAを申請することができます。ESTAウェブサイトは現在16カ国語で利用可能であり、現時点では申請は無料です。ESTA2年間有効で、期限内であれば何度でも渡航可能です。ただし、2年以内にパスポートが失効する場合には、パスポートの有効期限日までの承認となります。

 

組合組織の自由選択法案 (Employee Free Choice Act =  “EFCA”) 

オバマ新政権が雇用・労働法に与える影響

2009年度1月20日は初のアフリカ系アメリカ人の大統領が就任する米政治史上歴史的な日となります。オバマ民主党政権は、経済回復、中流層の減税、自然エネルギー促進、移民法改正など各分野での法律改正を目標にかかげていますが、そのほかにも労働組合の結成を促進するなど、雇用主にとっては注意すべき点も多々あるようです。その中でも2007年3月に下院で可決された被雇用者による自由選択法案 (Employee Free Choice Act =  “EFCA”) が今年には成立する可能性が高くなってきました。被雇用者による自由選択法案は、現行の全国労働関係法 (National Labor Relations Act = “NLRA”) を改正する目的に提案された法案で、署名だけで労働組合を結成できるなど、労働組合の組成化を容易にするものです。

現行の全国労働関係法では、組合が30%以上の有権者の組合承認カードを確保すれば、その旨を会社側に通知し、6週間後に無記名の秘密投票を行うことができます。無記名投票で組合が50%以上の支持を獲得すれば、組合は団体交渉の代表権を承認するように会社側に求めることができます。現行法では組合と会社側は、無記名投票までの期間に、有権者に対しお互いの主張を説明できるため、有権者は双方の説明を聞き比べたあとに、秘密投票で賛否の意思を変更することができます。また、投票は無記名であるため、組合側も会社側も支持・不支持を強制することは大変難しくなっています。

ところが、被雇用者による自由選択法案 は、組合が50%以上の有権者の組合承認カードを確保さえすれば、全国労働関係委員会が組合の団体交渉代表権を自動的に承認するように提案しています。したがって、組合が50%以上の承認カードを確保した時点で、会社側は有権者に対し主張表明をする機会を失うことになります。また、この法案では無記名投票がなくなるため、組合承認カードに署名してしまえば、それは2年間の拘束力をもち、カード署名後に社員が自己の意思を変更することができなくなります。

さらに、会社と組合が労働条件の合意に達しない場合、現行法では組合が暫定労働条件に対し組合員全員の過半数の承認を得なければ、会社は組合と再交渉する機会が与えられます。それに対し、被雇用者による自由選択法案では、会社と組合が労働条件の合意に達しない場合、会社は組合と再交渉する機会は与えられず、連邦政府指定の仲裁裁定者が労働協約を決めることになります。しかし、仲裁裁定者が必ずしも会社と組合の双方の主張を理解し、お互いの妥協点を公平に見極めることができるという保障はなく、万が一会社経営やビジネスの管理経験のない仲裁裁定者が指定された場合は、経営にそぐわない労働条件を決められる危険性もあります。

被雇用者による自由選択法案は、最終的には変更点も加えられる可能性もあり、現在提案されている条件にすべてこのまま可決するとはかぎりませんが、一旦可決してしまうと会社側の主張を説明する時間が限られてくるため、早期に対策をとることが重要でしょう。ただし、会社側の主張や措置が不当労働行為と受け取られないために最新の注意を払うと同時に、組合組織化に対して会社として中立な立場をとることが大切です。

尚、ジョージア日本人商工会およびジョージア日米協会の共催にて、1月26日(月) 2時から1時間半にわたり、在アトランタ日本総領事館にて上記法案についてのセミナー(無料)が行われます。被雇用者による自由選択法案にそなえ、会社が注意すべき点、してはならないことなどにつき、オグルツリー・ディケンズ法律事務所の本間弁護士により日本語で講義がおこなわれます。申し込みは下記の大蔵までご連絡ください。

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