国際企業管理職の永住権申請
Wednesday, July 1st, 2009日本から米国に派遣される多国籍企業の役員・管理職は、主にLビザやEビザで赴任しますが、Eビザには延長回数に制限がないのに比べ、Lビザ管理職の滞在期間は最長7年までです。7年目以降も米国で就労するには、Eビザに変更するか、永住権を申請する方法があります。
雇用主スポンサーによる永住権の申請には5つの優先枠がありますが、多国籍企業の役員・管理職は審査時間が比較的に短い第一優先枠に該当する可能性があります。第一優先枠で永住権を申請する場合、労働局に申請する外国人労働許可申請 (Labor Certification) の過程を省くことができるため、永住権取得までの時間が大幅に短縮されます。つまり、労働局を経ずに直接移民局に外国人労働者移民申請 (Form I-140 Immigration Petition for Alien Worker)と永住権申請 (Form I-485 Application to Register Permanent Residence or to Adjust Status)の申請を行います。
米国駐在の役員・管理職の場合、海外の関連会社で渡米前の3年間のうち1年以上の海外の関連会社で勤務経験があり、管理職として渡米しているのであれば、第一優先枠の“多国籍企業の役員・管理職(International Managers and Executives)”というカテゴリーで永住権の申請を行うことが可能です。しかしながら、この多国籍企業の役員・管理職の条件を、Lビザ管理職 (L-1A) の条件よりさらに厳しくみる審査官もいますので、米国でL-1A管理職として勤務していても、必ずしも第一優先枠の多国籍企業の役員・管理職として認められるわけではありません。たとえば、会社規模が小さい、監督する部下が少ない、または技術的業務内容が比較的に多い場合など、第一優先枠の管理職とは見なされにくい場合もあります。
駐在員が永住権を申請するメリットとしては、本人に帰国・転勤命令がでても、子供が引き続き米国で学校に通える、大学学費の減免、各種奨学金やローンの申請、就学中のバイトなどがあげられます。特にここ数年間は大卒用のH1B就労ビザ枠が大幅に不足しており、さらに近年の不況に伴い各種就労ビザの審査が大変厳しくなっているため、内定をもらっても就労ビザが取得できないという事態が多発しています。このような中でビザにとらわれない就職活動ができるというのは、大きな利点といえるでしょう。注意点としては、子供が21歳に達した時点で、親の同伴家族として移民申請ができなくなるので、子供の年齢や大学への進学時期などを考慮し、早めに永住権申請準備の計画をたてることが良策だと思われます。
永住権取得に伴うディメリットとしては、全世界の所得が課税対象となるため日本の退職金も課税対象となる、米国に収入がなくなってもタックスリターンを提出する義務があること、などがあげられます。また、米国を継続して1年以上離れていると永住権は失効してしまいます。また、1年の半分以上を米国外で過ごした場合も米国に永住の意思なしとみなされ、入国時にグリーンカードを没収されることもあるので注意が必要です。したがって、米国を不在中も永住権を維持したい場合は、出国前に再入国手続きを行う方法もありますが、個々の事情に関しては弁護士の意見を求めたほうがよいでしょう。
第一優先枠にはそのほかにも(1) Aliens of extraordinary ability (傑出した業績をあげた外国人)や(2) Outstanding professors and researchers (並外れた実績のある大学教授や研究者)というカテゴリーもあります。
Aliens of extraordinary abilityに該当するには、申請者が科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツなどの分野で世界的に傑出した業績をあげたことを証明しなければなりません。このカテゴリーは雇用主のスポンサーは必ずしも必要ではありませんので、個人での申請も可能です。ただし、申請者が米国内でこの特定分野で引き続き就労を行うことを証明する必要があります。“Extraordinary ability”を証明するには、申請者がその分野でトップクラスの技能を有していることを証明します。ノーベル賞やアカデミー賞の受賞などはその証拠となるでしょう。このような国際的な賞でなければ、その他の証拠を3つ以上提示しなければなりません。例えば、国際的もしくは全国レベルの賞の受賞、専門団体の会員、研究内容の出版や発表、他の研究者の研究内容の審査、申請者に関する記事、企業や団体内での指導的役割、並外れた報酬、学会もしくは業界への貢献度、あるいはその他申請者の成功などに関する証拠を提示しなければなければなりません。
Outstanding professors and researchersに該当するには、まず申請者の 研究能力や業績が国際的に評価されていること、その研究分野で最低3年間の教職もしくは研究経験があること、さらに大学での教職、もしくは研究機関や私企業でこれに匹敵する研究職に従事することを証明しなくてはなりません。上記の条件を満たせば、申請者はその研究が如何に卓越しているかを証明するために、さらに2種類以上の証拠を提出しなければなりません。例えば、研究業績に対する賞の受賞、専門団体の会員、研究内容の出版や発表、他の研究者の研究文章への引用、他の研究者の研究内容の審査、学会もしくは業界への貢献度などを証明しなければなりません。
それぞれ審査時間は現時点では、およそ4~12ヶ月ほどかかっていますが、審査時間は頻繁に変更するので、その都度審査時間を確認した方がよいでしょう。また、移民局は2009年6月29日から雇用主による移民申請書類のプレミアムプロセシング(特急審査)を再開する旨を発表しました。これに伴い、第一優先枠ではAliens of extraordinary abilityやOutstanding professors and researchers のカテゴリーで申請する人は、プレミアム料金の$1,000を支払えば、審査を15日以内に終了することができるようになりました。しかしながら、第一優先枠の多国籍企業の役員・管理職は、プレミアムプロセシングの対象からははずされています。
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