ビザ審査とソーシャル・メディア

2019年5月31日、米国国務省は移民ビザおよび非移民ビザ申請書類の質問にソーシャル・メディア情報の項目を追加しました。これは2017年3月にトランプ大統領が発表したビザ申請者の審査厳密化の方針に基づき、国家安全強化を図る目的としたものです。国務省は各国に所在する米国大使館や米国領事館でのビザ申請プロセスを強化するために、虚偽の申請や不当目的の渡米を見極めるようにビザ申請過程や書類を改善するように指示を受けたため、ビザ面接が以前よりも一層厳しさを増していますが、今回の追加質問により、ビザ申請者の個人情報がさらに厳しく審査される見込みです。

オンラインで提出するビザ申請書類DS160やDS260には、アメリカでのコンタクト情報、本人の渡航情報、家族情報、過去の住所などの質問がありますが、各国米国大使館や米国領事館は、これ以外にもかなり以前からフェースブックなどのソーシャル・メディアでビザ申請者の個人情報や職務情報などが申請内容と相違ないか、或いは不法な活動をしていないかなどを調べていました。また、イスラム圏のテロ対策として発表された大統領令13780が発令されてからは、ビザ面接後に米国大使館から追加情報として両親の氏名と生年月日、過去5年間の雇用主情報や住居情報、利用しているソーシャル・メディア情報を提供するように要請されるケースもみられるようになりました。

ビザ免除プログラムESTAは、イスラム圏のテロ対策を目的に、すでにFacebook、Twitter、Google+など旅行者が利用しているソーシャル・メディアのアカウント名を尋ねる制度を導入していますが、今回オンラインのビザフォームを改訂したことにより、政府関連ビザなど一部のビザ種類を除き、渡米者は皆ソーシャルネットワーキング情報の提供を義務付けられるようになりました。今回改訂された新しいビザ申請フォームには、過去5年間に使用したことのある電話番号、イーメールアドレス、ソーシャル・メディアの種類とアカウント名の質問が追加されています。これらの質問を追加することにより、申請者の身元確認プロセスが強化される見込みです。ソーシャル・メディアのリストには中国で利用されているものも多く含まれており、下記のメディアが挙げられています。 ASKfm、DOUBAN、Facebook、Flickr、Google、Instagram、LinkedIn、Myspace、Pinterest、Qzone (QQ)、Reddit、Sina Weibo、Tencent Weibo、Tumblr、Twitter、 Twoo、Vine、VKontakte (VK)、Youku、YouTube。これ以外のソーシャル・メディアを利用している場合も情報の開示を求められます。これら情報は、現米法においてビザ申請者がビザの条件を満たしているかを判断する目的に使われるもので、ビザ面接時にソーシャル・メディアのパスワードに関しては質問されません。ソーシャル・メディアを使ったことのない人は、“None”と回答することができます。ソーシャル・メディア名を提供しないという理由だけでビザ申請が却下されることはありませんが、虚偽の申請をしたとみなされた場合は問題視されます。審査の遅延を避けるためにも、質問には正直の回答する必要があります。

これらの措置は外国人に対するプライバシーの侵害であるとの批判もでていますが、アメリカ政府はアメリカに対する潜在的な脅威を認識し、テロリストや危険人物の入国を防ぐために必要な措置であるという見解をとっています。今後、ビザ面接時だけではなく、アメリカに入国する際にも入国官にソーシャル・メディアのアカウントについて聞かれる可能性もありますので、渡米者は自分の利用しているソーシャル・メディアに投稿しているコメントなどに問題がないか、自分のネットワークに問題視されるものはないかなど、事前に確認した方が無難でしょう。