STEM-OPT派遣による就労制限

2018年4月に移民局は、理数系学生用のSTEM-OPT保持者は、雇用主以外の場所での就労は認められないという方針を明らかにしました。つまり、派遣会社が雇用主となったり、雇用主の顧客先での就労を制限するという内容です。

STEM-OPTとは. Optional Practical Training (“OPT”) とはアメリカで大学で学位取得を目的とする学校にフルタイムで9ヶ月以上在籍した学生が、在学中もしくは卒業後に申請できる就労許可証のことです。OPTを使って卒業前、後合わせて合計で12か月まで研修・就労することができますが、理数系 (STEM) の学生であれば、OPTをさらに24か月間延長することができます。この延長をSTEM-OPTといいます。STEM-OPT申請条件として (1) STEM分野で学士、修士、博士の学位を取得済みであること、(2) OPT就労資格で米国雇用主のもとで専門分野と関連した職務に従事していること、(3) 雇用主はE-Verify 雇用資格確認システムに登録していること、(4) STEM-OPT社員がフルタイムやパートタイムのアメリカ人社員の職を奪うものではないこと、(5) 類似の仕事を行っているアメリカ人社員の雇用条件 (職務、時間、報酬など) と同等に扱うこと、などが挙げられます。また、STEM-OPTを申請するには、雇用主はこの研修期間の学習目的を明確にし、正式な研修プログラムを作成(フォームI-983) しなければなりません。

報告義務. 雇用主は学生を解雇する場合は解雇から5日以内に大学のインターナショナル・オフィスに報告する義務があります。また、研修計画に変更があれば、雇用主は事前に大学のインターナショナル・オフィスに報告し、訂正版の計画書を提出する義務があります。

学生は雇用主情報 (社名、住所など) や個人情報 (名前、住所、イーエールアドレスなど) に変更があれば、10日以内に大学のインターナショナル・オフィスに報告する義務があります。何も変更がなくとも学生は6か月に大学のインターナショナル・オフィスに変更の有無について報告する義務があります。STEM-OPT期間は60日以上雇用が中断すれば、OPTが失効してしまうので注意が必要です。

真正な雇用関係. 2018年6月に新規H1Bの申請をした雇用主が、STEM-OPTで就労している外国人社員が派遣会社を通してSTEMP-OPTを申請したことが問題視され、H1Bの審査の一環として過去に滞在資格の違反がなかったかを問われました。これはH1Bの雇用関係に関する規定と同様、STEM-OPTの雇用主も、実際に学生の研修・就労を監督する会社が雇用主として研修計画書に署名し、雇用主責任を担うという解釈です。派遣会社が実際の研修を提供し、毎日の研修の指示監督を行っていれば、派遣会社がSTEM-OPTの雇用主として研修計画書に署名し、雇用主責任を担うことができます。しかしながら、派遣会社が派遣契約のみ、あるいは給与処理など事務処理のみを行い、日々の業務の指示監督を行っていなければ、派遣会社がSTEMP-OPTの雇用主となることはできません。

職場訪問. 移民局は申請したSTEM-OPTの研修計画書の内容通りに研修を進めているかを確認するために、研修場所を訪問することもあります。もし、STEM-OPTの規定を順守していなければ、滞在資格違反を問われ、オーバーステイのカウント、さらに裁判所出頭命令の通知を受けることも考えられます。5月に発表された政府の新しい方針により、滞在資格に違反があれば学生ビザ保持者も不法滞在扱いとなり、オーバーステイが180日を超えると3年間アメリカへの入国禁止、オーバーステイが365日を超えると10年間アメリカへの入国禁止処分となります。また、7月に発表された新しい政府のガイダンスによると、滞在資格を違反した者に対して出廷通知 (Notices to Appear, NTA) が発行され、出廷通知を受け取ったら、移民裁判所に出頭し、強制退去処分の対象になるのかを判断されることになります。

1月にトランプ大統領が発表した大統領令13768、 Enhancing Public Safety in the Interior of the United Statesにより、米国内の安全強化のために外国人に対する国外退去の方針が厳しくなっていますので、雇用主も学生もSTEM-OPTの順守事項に漏れがないよう十分に注意する必要があります。