DACA就労許可証の延長

2012年6月15日にオバマ政権下は、アメリカに不法に滞在している若者が一定条件を満たせば就労許可証を申請できるよう、DACAという暫定救済措置 を発表しました。これはDeferred Action for Childhood Arrivalsといいます。これは子供の時に親に連れられて、適切なビザ書類を持たずに国境を超えてアメリカに入国した若者が、即強制退去処分に合わないように、テンポラリーな就労許可証を与えるという救済措置です。DACAにより就労許可証を申請するには、2007年以前に16歳未満で米国に不法入国し、米国に5年以上滞在し、犯罪歴のないことが条件です。この措置により、80万人もの若者が就労資格を与えられ、アメリカの多くの企業もこれらの人材を数多く採用するようになりました。

ところが、トランプ大統領が選挙中からDACAを撤廃すると公約していました。2017年5月にはテキサス州を筆頭に10州が、DACAを段階的に廃止するアクションを取り、新規申請や延長申請を中止しなければ、法的措置を取るというレターを米国法務長官に送付しました。これを受けて、DACAは行政機関による越権であり、DACAプログラムは違法である可能性が高いと、法務長官は国土安全保障省に意見を述べました。翌日の9月5日にトランプ政権はDACAを取り消すと正式に発表しました。この発表により、9月5日で新規のDACA申請を受け付けは終了し、DACAの延長申請は10月5日で打ち切られました。また、9月5日にDACA申請者による旅行許可証の申請受付も打ち切り、その時点で申請中の案件もすべて返却されるという趣旨でした。

これに対し、9月8日には、カリフォルニア大学がDACA取消措置を禁止するように提訴しました。翌日9日には、連邦地方裁判所によりDACAの一部をそのまま維持するように命令が出され、DACAの延長申請は引き続き受け付けられるようになりました。この裁判命令により、2016年9月5日以降にDACAが失効した人は延長申請をすることができますが、現在DACAが有効である人は、現存のDACAが失効する150日から120日の間に申請するのが望ましいと指示がでています。2016年9月5日以前にDACAが失効した人は、新規申請として申請することができます。今まで一度もDACAを申請したことのない人の新規申請は受け付けられません。また、旅行許可証に関しては、現時点では受け付けない、また審査しなくてよいという裁判所の意見です。しかしながら、この裁判命令に対して、政府は上訴する構えを見せているので、DACAの延長申請は早めに行った方がよいと思われます。また、雇用主としては、DACAによる就労許可証で働いている社員に対しては、今後の政府による上訴の動向を見守りながら、適切な対応をすることが重要であると思われます。

また、2018年1月19日 (金) の夜中に連邦政府の暫定予算案が上院で可決を得られずに、20日 (土) から連邦政府が一部閉鎖状態に追い込まれました。民主党はドリーマーと呼ばれる不法移民の子供たちに対して何らかの救済措置をとらなければ暫定予算案に同意できないと主張しているのに対し、共和党は政府機能が再開しなければ、DACAに関する移民法法案の検討はできないと反論しています。民主党は、米・メキシコ間の壁の建設に関する討論も行う構えを見せて大幅に譲渡をしているものの、現時点では両党が妥協できる点を見出してはいません。これにより、数々の政府機関が閉鎖状態に陥いっていますが、ここ数日から数週間以内で両党が妥協点を見出すことがきれば、政府機能も回復し、DACAに関する措置も前進が見られるかもしれません。