2018年度の移民法案

トランプ政権は2018年度の法案の議題予定について発表しました。2017年4月に“Buy American, Hire American”という大統領令を発表してから、外国人のビザ審査が一層厳しくなりましたが、来年度もさらに外国人に対して厳しい法案が出される予定です。来年度には抽選永住権の撤廃、亡命者の受入制限、特にアジア人やメキシコ人に多い家族スポンサーによる永住権対象者から親兄弟を取り除くなど、全般的に有色人種の移民に対する制限が強くなるように思われます。来年度の議題の中から、就労や投資ビザに関する主なものを下記に説明します。

  • H1B 配偶者の就労許可証廃止案。2015年5月26日に、H1B保持者が永住権の申請を始めて特定条件を満たせばH4配偶者は就労許可証を申請できるようになりました。しかしながら、H4配偶者の就労許可には賃金や職種の制限がないため、特にコンピューター業界でアメリカ人の職を奪っていると批判され、アメリカ人の雇用を守るために、来年2月にはこの法案を撤回する法案が提出されています。
  • Optional Practical Training (OPT) 就労許可証の改善。FやMビザの学生が学期中もしくは卒業後に申請できるOPT就労許可証は、学生の専攻分野と同じ分野で研修や就労することができますが、賃金の規定が比較的に緩いことから、IT職種などでアメリカ人の就労を奪っていると批判されていました。これを受けて、アメリカ人の雇用を守り、またOPTの乱用や詐欺行為を防ぐために、来年8月にはこの学生の就労許可制度を見直す予定となっています。
  • H1B 申請方法の改定。来年度にはH1Bの申請方法を改善するように法案がだされています。法案には (1) 枠制限のH1B雇用主のオンライン事前登録義務、(2) 抽選に優先順位を設ける (高学歴、高収入など)、(3) より優秀な人材を確保するためにH1BのSpecialty Occupation、つまり専門職、の定義の見直し、アメリカ人の雇用や賃金を守るために雇用関係の定義の見直し、などが予定されています。
  • 第5優先枠の投資による永住権申請規定改正。第5優先枠の永住権の申請方法には、自分の事業に投資する方法と、移民局に認可された地域開発センターが手掛ける投資や開発プロジェクトに投資する方法があります。来年度には地域開発センターの認可・取消方法、申請方法、認可ステータスの維持条件などの見直しがされる予定です。
  • 国際起業家法。2017年1月にオバマ大統領により、起業家が事業を起こすためにアメリカへの仮入国を許す法案が提出され、7月から施行される予定でしたが、この法案により外国人労働者を無限に受け入れることになりかねないという批判を浴びていました。このため、トランプ政権はアメリカ人の職を守るためにこの法案の施行を2018年3月まで伸ばしていました。しかしながら、この施行の遅れによって、入国できずに被害を被った企業から訴えが起こされたために、12月にはこの法案を施行するように裁判所命令が出されました。これに則って、12月14日に移民局はこの法案を施行すると発表したものの、来年度にはこの法案を撤廃する予定であるという注意も出しています。

これらの法案は一般に行政予算管理の承認を得てから、この法案の問題点などを改正するために各関係者のコメント期間が設けられるため、もし承認されれば、一定期間の審査を経てからの施行となります。雇用主は、今後の新規採用や既存社員の就労資格が今後の変化に対応できるよう、来年度の移民法案を見守る必要があると思われます。