高度技術者の永住権・短期就労ビザに関する法律改正

2016年11月18日に米国国土安全保障省は、高度技術者の永住権・短期就労ビザに関する特定法律項目の改正点を発表しました。この法律は2017年1月17日から適用となります。下記に主な改正点を説明します。

  • 雇用主移民スポンサー申請に伴う就労許可証(EAD)の発行

これは雇用主スポンサーの第1・第2・第3優先枠で永住権を申請するものが永住権申請中に短期就労ビザが失効して仕事が中断することがないように、もっと早めに就労許可証を申請できるように改正されたものです。

現存の規定では、永住権申請の第1段階のPERM Labor Certification と第2段階のI-140雇用主移民スポンサー申請時点では就労許可証を申請することができません。就労許可証は、永住権の最終段階申請時(I-485)に申請します。したがって、第1段階と第2段階の申請中に短期就労ビザの最長期限が切れた場合、その時点で就労が中断してしまう可能性があります。また、就労許可証を入手するまで、何らかの短期就労ビザ滞在資格を維持できなければ、途中で国外に出る必要もでてきます。

ただ、例外としてH1B保持者に限り、Labor Certificationが承認されて1年が経過している場合、もしくは、I-140雇用主移民スポンサー申請が承認されているが最終段階の滞在資格申請(I-485)まで待ち時間がある場合は、H1Bの最長期限6年目以降もH1Bを延長することができますが、その他のビザ保持者にはそのような便宜は設けられていません。

今回の法律改正は、このように永住権申請に伴う就労許可証を取得する前に短期就労ビザ滞在資格が切れて仕事が中断することがないように、もっと早い段階で就労許可証を申請できるように取り計らったものです。1年有効な就労許可証(EAD)を申請するためには、下記の条件を満たしていることが条件となります: (1) E3, H1B, H1B1, L1, O1のいずれかの短期就労ビザを保持している、もしくはその同伴家族として滞在している; (2) I-140雇用主移民スポンサー申請が承認されている; (3) 永住権申請の待ち時間があるためにI-485を未だ申請できない;(4) 短期就労ビザでの就労が継続できない“切迫した事情 (compelling circumstances)”がある。 尚、新しい就労許可書を申請するためには申請費用支払いのほかに指紋押捺義務が追加されます。

  • 短期就労ビザ保持者のGrace Period(猶予期間)

就労期間前後:現行の法律では短期就労ビザの中ではH1Bのみ、就労期間開始前および承認期間満了後に10日間のGrace Period(猶予期間)がそれぞれ設けられていますが、その他の短期就労ビザ保持者には承認・許可された就労期限の前にも後にも何らのGrace Periodは設けられていません。そのため、ビザの有効期限前にアメリカに入国することはできず、また就労承認期限が切れる前に出国の準備をしなければなりません。

しかし、今回の規定改正により、E1, E2, E3, L1, TNなどのビザ保持者にも就労許可期間前後に10日のGrace Periodが与えられます。従って、これらのビザ保持者も就労期間開始の10日前から米国に入国が可能となり、就労期間満了後の10日間のGrace Periodの間に帰国の準備をしたり、滞在期間の延長申請をしたり、またそのほかのビザへの切替申請を行うことができるようになりました。ただし、このGrace Periodの間は滞在は合法となりますが、仕事をすることはできません。

途中解雇の場合: 現行法では短期就労ビザ保持者が、就労承認期間満了前に雇用が終了した場合、その時点で滞在資格がなくなってしまいます。H1B 保持者も承認期限満了前に雇用が終了した場合は、10日間のGrace Periodは与えられません。そのため、雇用終了前に他の滞在資格への変更申請を提出するか、もしくは新雇用主が雇用主変更申請を移民局に提出していなければ、申請者は一旦国外に出なければなりませんでした。

しかし、今回の規定改正により、E1, E2, E3, H1B, H1B1, L1, O1, TNビザ保持者が就労許可期間中に雇用が終了した場合、雇用終了後Grace Periodが最長60日与えられます。ただし、移民局から認められた滞在期間の方が短い場合は、短い方の期間までの滞在が認められます。従って、雇用終了後すぐにはオーバーステイは始まらないので、Grace Periodが終わるまでに新しい雇用主を探し、アメリカ国内で雇用主変更申請を行うことが可能となります。