2016年5月: H1B抽選とその後の対応

2016年4月7日に2016年度のH1Bビザ申請の受付が終了しました。H1Bには一般枠として6万5千枠と米国の修士・博士号取得者用の2万枠の計8万5千枠が設けられていますが、本年度は初週に23万6千人の申請がありました。これは昨年度の申請者数とほぼ同じで、無作為の抽選がおこなわれ、およそ30%弱ほどの申請者が選ばれました。プレミアムの特急申請の審査は5月中旬に開始しているため、現時点で受領通知がきていなければ、当選の可能性はほぼないといえるでしょう。普通申請をした人は、5月から10月までに当選の結果がわかります。当選した人には受領通知書が送られ、落選した人には申請書類と申請費用がそのまま返却されます。H1Bの抽選に当選した人は書類の審査にはいり、申請が承認されれば10月1日の就労開始となります。では、審査期間中はどのような対応をしたらよいのでしょうか?

OPT自動延長.F1学生の場合、H1Bに当選したら、受領通知書を大学のインターナショナル・オフィスにみせれば、10月前にOPTが失効しても、OPTの期間を9月30日まで自動的に延長してもらうことができます。OPTの自動延長についてI-20に明記されますが、OPTの就労カードを移民局に延長申請するものではないので、自動延長期間中は国外への旅行は極力さけたほうがよいでしょう。OPT期間中に90日以上非雇用状態が続くとOPTが失効するので注意が必要です。

STEM/OPT延長.H1Bが却下された場合は、その時点で自動延長されたOPTも失効します。ただし、STEM(理数系)に該当する専攻分野の学生であれば、OPTをさらに24ヶ月延長することができます。ただし、雇用主がE Verifyに加入することが条件です。さらに5月に施行された新規定により、OPTを24ヶ月間延長するには、雇用主はこの期間の研修目的を明確にし、研修計画書を作成することが義務づけられました。STEM学生はOPTを合計で36ヶ月申請できるので、この間最多3回までH1Bを申請することもでき、またこの間に永住権を申請することも検討できます。追加24ヶ月のSTEM-OPT期間は60日以上非雇用状態が続くとOPTが失効するので注意が必要です。

OPT猶予期間.H1B申請時にOPT期間がすでにきれており、OPTの猶予期間(Grace Period)中にH1Bを申請した人は、H1B開始の10月1日までの期間は米国内に滞在することはできますが、就労することはできません。その間一旦米国を出国したら、F1/OPTの資格では入国できなくなりますので、要注意です。

枠免除カテゴリー. 非営利団体の大学機関、非営利団体の大学機関と連携プログラムがある機関(たとえば、大学からインターン生をうけいれている病院など)、もしくは政府や民間の非営利のリサーチ団体などは、H1Bの年間枠の制限をうけませんので、年中いつでもH1Bを申請することができます。また、H1Bはフルタイムでもパートタイムでも申請できます。枠免除の雇用主がH1Bを申請すれば、枠免除の雇用主のもとで就労が続く限り、枠該当の雇用主も第2雇用主としてH1Bを申請することができます。ただし、この場合、枠免除の雇用主との雇用関係が終了すれば、枠該当の雇用主での雇用も無効となります。枠該当の雇用主が単独でH1Bをスポンサーするためには、新年度枠で新たにH1Bを申請しなければなりません。

H1B落選.抽選に漏れてもOPT就労カードがまだ有効であれば、その有効期限まで米国内で就労することができます。その後の選択肢としては、OPTの猶予期間失効前に国外にでるか、もしくは米国内でその他の滞在資格へ変更するかになります。例えば、学校の他のプログラムに再入学してF1学生滞在資格を延長する、B2観光ビザ滞在資格へ変更申請して、その間引越し手続きなどで数ヶ月間米国に滞在する、もしくは一旦日本にもどりESTAで再入国するなど、考えられます。もし、専門職歴のある人であれば、Eビザを検討することもできるでしょう。さらに、米国外の関連会社で1年勤務をして、1年後に関連会社間転勤用のLビザを申請することも検討できるでしょう。研修目的であれば、米国外の大学をでて1年間の関連経験があれば、J1研修ビザを申請することもできます。米国外の大学をでていなければ、米国外で5年間の関連職務経験が条件となります。また、専門とまったく関係のない分野での研修であれば、H3研修ビザを検討することもできるでしょう。ただし、H3はJ1とはことなり、教室内での研修が主体となるため、実地研修は最小限にとどめなければなりません。その他にも、カナダ・メキシコ人であればTNビザ、オーストラリア人であれば、E3ビザでの採用も可能です。また、同じH1Bでもチリ・シンガポール人には別枠が設けられているので、これらの国からの採用も可能です。

 

執筆:大蔵昌枝弁護士, フィッシャー・ブロイルズ法律事務所

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