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H1B抽選とその後の対応

2018年4月6日に2019年度のH1Bビザ申請の受付が終了しました。H1Bには一般枠として6万5千枠と米国の修士・博士号取得者用の2万枠の合計8万5千枠が設けられていますが、本年度は初週におよそ19万件ほどの申請がありました。このうちおよそ9.4万件は普通枠の申請で9.6万件がマスター枠の申請でした。申請者数は2年連続で低下傾向にあり、今年の当選確率はおよそ40%くらいだと予想されます。なお、H1B枠で新規申請者のプレミアム特急申請が4月から9月末まで一時的に中止されているため、審査結果がわかるのは早い人で5月、遅い人で9月末くらいになるとおもわれます。当選した人には受領通知書が送られ、落選した人には申請書類と申請費用がそのまま返却されます。H1Bの抽選に当選した人は書類の審査に入り、申請が承認されれば10月1日の就労開始となります。では、審査期間中はどのような対応をしたらよいのでしょうか?

OPT自動延長.F1学生の場合、H1Bに当選したら、受領通知書を大学のインターナショナル・オフィスにみせれば、10月前にOPTが失効しても、OPTの期間を9月30日まで自動的に延長してもらうことができます。OPTの自動延長についてI-20に明記されますが、新しい就労カードを申請するものではないので、自動延長期間中は国外への旅行は極力さけたほうがよいでしょう。OPT期間中に90日以上非雇用状態が続くとOPTが失効するので注意が必要です。

STEM/OPT延長.H1Bが却下された場合は、その時点で自動延長されたOPTも失効します。ただし、STEM (理数系) に該当する専攻分野の学生であれば、OPTをさらに24ヶ月延長することができます。OPTを24ヶ月間延長するには、雇用主はこの期間の研修目的を明確にした研修計画書を作成し、OPTの延長申請書に添付して申請をします。また、雇用主がE Verifyに加入することも条件です。STEM学生はOPTを合計で36ヶ月申請できるので、この間最多3回までH1Bを申請することもでき、またこの間に永住権を申請することも検討できます。追加24ヶ月のSTEM-OPT期間は60日以上非雇用状態が続くとOPTが失効するので注意が必要です。

OPT猶予期間.OPT期間終了後の猶予期間 (Grace Period) 中にH1Bを申請した人は、H1B開始の10月1日までの期間は米国内に滞在することはできますが、就労することはできません。その間一旦米国を出国したら、F1/OPTの資格では入国できなくなりますので、注意が必要です。

枠免除カテゴリー. 非営利団体の大学機関、非営利団体の大学機関と連携プログラムがある機関  (たとえば、大学からインターン生をうけいれている病院など)、もしくは政府や民間の非営利のリサーチ団体などは、H1Bの年間枠の制限をうけませんので、年中いつでもH1Bを申請することができます。また、H1Bはフルタイムでもパートタイムでも申請できます。枠免除の雇用主がH1Bを申請すれば、枠免除の雇用主のもとで就労が続く限り、枠該当の雇用主も第2雇用主としてH1Bを申請することができます。ただし、この場合、枠免除の雇用主との雇用関係が終了すれば、枠該当の雇用主での雇用も無効となります。枠該当の雇用主が単独でH1Bをスポンサーするためには、翌年の年度枠で新たにH1Bを申請しなければなりません。

H1B落選.抽選に漏れてもOPT就労カードがまだ有効であれば、その有効期限まで米国内で就労することができます。その後の選択肢としては、OPTの猶予期間失効前に国外にでるか、もしくは米国内でその他の滞在資格へ変更するかになります。例えば、学校の他のプログラムに再入学してF1学生滞在資格を延長する、B2観光ビザ滞在資格へ変更申請、もしくは一旦日本にもどりESTAで再入国する、などの選択肢があります。専門的な職務経験のある人で、雇用主がEビザの条件を満たしていれば、Eビザ申請を検討することもできるでしょう。また、米国外の関連会社で1年勤務をして、1年後に関連会社間転勤用のLビザを申請するオプションもあります。研修目的であれば、米国外の大学をでて1年間の関連経験があれば、J1研修ビザを申請することもできます。米国外の大学をでていなければ、米国外で5年間の関連職務経験が条件となります。また、アメリカでの研修に関連する学歴や職歴がない場合は、H3研修ビザの申請を検討することもできるでしょう。ただし、H3はJ1とは異なり、教室内での研修が主体となるため、実地研修は最小限にとどめなければなりません。その他にも、カナダ・メキシコ人であればTNビザ、オーストラリア人であればE3ビザの申請も検討できます。また、チリ・シンガポール人にはH1B普通申請の6.5万枠の中から6,800枠が別枠として設けられているので、これらの国籍保持者であれば、この枠がなくなるまでH1Bの申請も可能です。

H-1B専門職ビザ申請受付

2018年4月1日にH-1B専門職ビザ申請の受付が始まります。H-1Bとは専門的知識を有する大卒以上の学位取得者を対象とした短期就労ビザの一種で、毎年H-1Bの就労開始日 (10月1日) の6ヶ月前の4月1日に申請受付が始まります。

H-1B年間枠.H-1Bは年間枠が65,000枠ありますが、これとは別に修士号や博士号取得者にはさらに20,000枠設けられています。この中から6,800枠はチリとシンガポール国籍者に割り当てられます。ここ数年間H-1Bの申請者は年間枠を大幅に上回っているため、申請受付は4月の初週で締め切られ、無作為の抽選で選ばれた申請者のみ審査されています。ここ数年間の当選確率は30%~50%となっています。今年も昨年同様、申請受付が4月初週の5日間のみであると予想されますので、早めに申請準備を始めたほうがよいでしょう。ただし、H-1Bの延長申請、過去6年間にすでにH-1Bを取得したもの、また、雇用主が非営利団体の大学機関、大学機関と連携プログラムがある非営利機関 (たとえば、大学からインターン生をうけいれている病院など)、もしくは政府や民間の非営利のリサーチ団体などの雇用主は、年間枠の対象とはなりませんので、4月1日の申請時期を待たずに、年中いつでもH-1Bを申請することができます。

H-1Bの申請条件.H-1Bビザは基本的には4大卒者 (もしくは同等の資格をもつもの) を対象としていますが、大学の専攻科目がポジション内容と一致していることが条件です。ただ、近年米国移民局の審査が大変厳しくなっているため、理数系以外の審査はかなり難航することが予想されます。

H-1B遵守事項.H-1B 雇用主はその地域の平均賃金もしくは同職社員に支払う賃金のいずれかの高い方をH-1B 社員に支払う義務があります。H-1Bはフルタイムでもパートタイムでも申請できますが、フルタイムの場合は最低でも年間平均賃金、パートタイムの場合は平均時給を支払う義務があります。また、H-1B 雇用主はH-1B申請前にH-1B の雇用条件 (職務、賃金、勤務場所、勤務期間などの情報) を社内2箇所に10営業日間掲示する必要があります。その他にもH-1B 雇用主はH-1B期限満了前に会社の都合でH-1B 社員を解雇した場合、その社員が自国へもどるための渡航費用をオファーする義務があります。さらに勤務地が複数にわたる場合、それぞれの地域の平均賃金を遵守する必要がありますので、注意が必要です。なお、雇用主はH-1B社員の給与や雇用条件に関し、政府役人や社員などから閲覧を求められたらすぐに開示できるように、これら情報をPublic Access File に保管する義務があります。

複数企業・転職. H-1Bはスポンサー企業での就労に限定されていることから、転職を希望する場合、新しい雇用先が新たにH-1Bの申請手続きを行わなくてはなりません。また、H-1Bはパートタイム申請も可能なため、雇用主が複数いる場合は、それぞれの雇用主がH-1Bを申請することで、複数企業で同時に就労することもできます。また、H-1B枠免除団体を通してH-1Bを取得していれば、H-1B枠免除団体での雇用が続く限りは、H-1B枠対象企業が2つ目のH-1Bを同時雇用として申請することもできます。ただし、この場合H-1B枠免除団体での雇用が終了した時点で、2つ目のH-1Bも無効となってしまいます。なお、H-1B枠免除団体からH-1B枠対象企業へ転職するときは、新たにH-1Bの年間枠の対象となりますので、注意が必要です。

申請料金.H-1Bの初回申請費用は、基本申請料金$460、詐欺防止費用$500 (初回申請のみ), ACWIA追加申請料金 $1500 (社員25名以下の場合は$750) の3通りの費用がかかります。H-1B枠免除の対象となる非営利団体はACWIA追加申請料金が免除されます。また、2015年12月の米国議会一括予算法案により、50名以上の社員をかかえる企業で、50%以上の社員がH-1BやLビザ保持者であれば、従来の申請費用に加え、さらに$4,000の追加申請費用が課せられるようになりました。

なお、今回の新規H-1B申請は昨年度同様に規定枠を大幅に超える申請数があると思われるため、移民局はH-1Bの枠制限を受ける新規申請者の特急申請 (プレミアムプロセシング) サービスを4月から9月末まで一時的に停止すると発表しました。ただし、年間枠の制限を受けないH-1Bの延長申請や特別な例外事由に当てはまる場合は引き続きプレミアムサービスをご利用いただけます。

移民法改正法案上院で否決

2018年2月15日に移民法改正法案と訂正法案を含む4つの移民改正法案が、可決に必要な60票を獲得できずに、すべて上院で否決されました。

まずは、トランプ政権の意向を反映した共和党上院議員7名から提案された法案Secure and Succeed Act of 2018には、特定条件を満たすDreamerと呼ばれる合法滞在資格をもたない若者に市民権申請の権利を与える代わりに、アメリカ・メキシコ間国境に壁建設費用$25ミリオン予算の確保、国境取締強化、不法移民の退去強化 (癌患者の子供を持つ親、学校の先生、ドリーマー、家庭内暴力被害者を含む)、抽選永住権排除、永住権申請者数の大幅カットなどの条件を含まれていました。この法案により、芋づる式に親兄弟や成人の子供などの家族を呼び寄せることができなくなり、アジアや中南米からの移民の数が激減し、また、アメリカ経済の発展に不可欠な労働層の受け入れが減ることによりアメリカ経済へ多大な打撃があると懸念されていました。この極端な移民法取締案のために、ドリーマーのアメリカ市民権申請法案まで一緒に否決されるのを回避するために、ラウンド上院議員 (共和党) とキング上院議員 (無所属) を始めとする25名の両党と無所属の共同訂正法案が提案され、ドリーマーにアメリカ市民権への道を与える代わりに、トランプ政府の提唱する国境の壁建設費用$25ミリオン予算は確保すること、ただし現行の移民法システムを極端に改正するのではなく、子供の不法移民を手伝った親の永住権はスポンサーできないことを提案しました。これに対し、マケイン上院議員 (共和党) とクーン上院議員 (民主党) は、国境の壁建設予算は法案から削除し、ドリーマーにアメリカ市民権への道を与えるのと引き換えに、アメリカ・メキシコ間の国境警備を増強するように提案しました。しかしながら、いずれの法案も可決に必要な60票を獲得することができず、ドリーマーのアメリカ市民権への道は絶たれてしまいました。

その他にはStop Dangerous Sanctuary Cities Actも否決されました。Sanctuary Cities とは、全米におよそ300ほどある聖域都市のことで、これら都市はもともと1980年代に地元住民の宗教的信念とエルサルバドールやグアテマラなどの中南米からの亡命者の受け入れを拒否していた州政府に対抗する措置として、地元の教会を中心に人道的な救済措置としてできたものです。これら地域は不法移民に対して比較的寛容で、不法入国者の家族が離れ離れにならないように、不法移民の取締りや情報提供に関して政府との協力を拒んでいます。例えば、警察に犯罪を通報したものが、逆に不法移民だという理由で逮捕されることがないように、地域の安全確保の意味からも当該都市の警察官は住民の滞在資格を調査する権限は与えられておらず、不法移民でも逮捕される危険を冒さずに犯罪を通報することができるように配慮しています。また、不法移民は米国市民とほぼ同様の公共サービスを受けることができ、子供が公立学校に通ったり、病院の治療を受けることができ、不法移民という理由で逮捕されたり強制送還されることはありません。結果的に、これら聖域地域には難民、亡命者、不法滞在者やその他身の安全を確保する目的の者が多く集まってきており、聖域都市の政策に反対する者は、これら都市は犯罪者の集まりを助長しており、聖域都市も連邦当局と協力して不法移民や犯罪者などの調査を行うべきだと主張しています。これに対し聖域都市の擁護派は、これら都市では犯罪率が非常に低く、亡命者や不法移民も経済に貢献しており、彼らの受け入れと犯罪の関連は見られないと主張しています。Stop Dangerous Sanctuary Cities Actは、聖域地域が不法移民の滞在資格の情報提供や政府からの不法移民拘留や釈放の要請を拒んだ場合、当該政府が経済開発補助金や地域開発補助金を受ける権利を剥奪するとしていますが、この法案も否決されました。

これら4法案が上院で否決されたことにより、極端な移民取締措置が取られることはなくなったものの、この法案により救済されたであろう180万人ものドリーマー (不法滞在の若者たち) の将来像が見えなくなってきました。その中でも既に暫定的就労許可証を与えられている69万人ものDACAと呼ばれる若者も、今後就労許可証を延長し続けることができるのか、先行きが危ぶまれます。

DACA就労許可証の延長

2012年6月15日にオバマ政権下は、アメリカに不法に滞在している若者が一定条件を満たせば就労許可証を申請できるよう、DACAという暫定救済措置 を発表しました。これはDeferred Action for Childhood Arrivalsといいます。これは子供の時に親に連れられて、適切なビザ書類を持たずに国境を超えてアメリカに入国した若者が、即強制退去処分に合わないように、テンポラリーな就労許可証を与えるという救済措置です。DACAにより就労許可証を申請するには、2007年以前に16歳未満で米国に不法入国し、米国に5年以上滞在し、犯罪歴のないことが条件です。この措置により、80万人もの若者が就労資格を与えられ、アメリカの多くの企業もこれらの人材を数多く採用するようになりました。

ところが、トランプ大統領が選挙中からDACAを撤廃すると公約していました。2017年5月にはテキサス州を筆頭に10州が、DACAを段階的に廃止するアクションを取り、新規申請や延長申請を中止しなければ、法的措置を取るというレターを米国法務長官に送付しました。これを受けて、DACAは行政機関による越権であり、DACAプログラムは違法である可能性が高いと、法務長官は国土安全保障省に意見を述べました。翌日の9月5日にトランプ政権はDACAを取り消すと正式に発表しました。この発表により、9月5日で新規のDACA申請を受け付けは終了し、DACAの延長申請は10月5日で打ち切られました。また、9月5日にDACA申請者による旅行許可証の申請受付も打ち切り、その時点で申請中の案件もすべて返却されるという趣旨でした。

これに対し、9月8日には、カリフォルニア大学がDACA取消措置を禁止するように提訴しました。翌日9日には、連邦地方裁判所によりDACAの一部をそのまま維持するように命令が出され、DACAの延長申請は引き続き受け付けられるようになりました。この裁判命令により、2016年9月5日以降にDACAが失効した人は延長申請をすることができますが、現在DACAが有効である人は、現存のDACAが失効する150日から120日の間に申請するのが望ましいと指示がでています。2016年9月5日以前にDACAが失効した人は、新規申請として申請することができます。今まで一度もDACAを申請したことのない人の新規申請は受け付けられません。また、旅行許可証に関しては、現時点では受け付けない、また審査しなくてよいという裁判所の意見です。しかしながら、この裁判命令に対して、政府は上訴する構えを見せているので、DACAの延長申請は早めに行った方がよいと思われます。また、雇用主としては、DACAによる就労許可証で働いている社員に対しては、今後の政府による上訴の動向を見守りながら、適切な対応をすることが重要であると思われます。

また、2018年1月19日 (金) の夜中に連邦政府の暫定予算案が上院で可決を得られずに、20日 (土) から連邦政府が一部閉鎖状態に追い込まれました。民主党はドリーマーと呼ばれる不法移民の子供たちに対して何らかの救済措置をとらなければ暫定予算案に同意できないと主張しているのに対し、共和党は政府機能が再開しなければ、DACAに関する移民法法案の検討はできないと反論しています。民主党は、米・メキシコ間の壁の建設に関する討論も行う構えを見せて大幅に譲渡をしているものの、現時点では両党が妥協できる点を見出してはいません。これにより、数々の政府機関が閉鎖状態に陥いっていますが、ここ数日から数週間以内で両党が妥協点を見出すことがきれば、政府機能も回復し、DACAに関する措置も前進が見られるかもしれません。

2018年度の移民法案

トランプ政権は2018年度の法案の議題予定について発表しました。2017年4月に“Buy American, Hire American”という大統領令を発表してから、外国人のビザ審査が一層厳しくなりましたが、来年度もさらに外国人に対して厳しい法案が出される予定です。来年度には抽選永住権の撤廃、亡命者の受入制限、特にアジア人やメキシコ人に多い家族スポンサーによる永住権対象者から親兄弟を取り除くなど、全般的に有色人種の移民に対する制限が強くなるように思われます。来年度の議題の中から、就労や投資ビザに関する主なものを下記に説明します。

  • H1B 配偶者の就労許可証廃止案。2015年5月26日に、H1B保持者が永住権の申請を始めて特定条件を満たせばH4配偶者は就労許可証を申請できるようになりました。しかしながら、H4配偶者の就労許可には賃金や職種の制限がないため、特にコンピューター業界でアメリカ人の職を奪っていると批判され、アメリカ人の雇用を守るために、来年2月にはこの法案を撤回する法案が提出されています。
  • Optional Practical Training (OPT) 就労許可証の改善。FやMビザの学生が学期中もしくは卒業後に申請できるOPT就労許可証は、学生の専攻分野と同じ分野で研修や就労することができますが、賃金の規定が比較的に緩いことから、IT職種などでアメリカ人の就労を奪っていると批判されていました。これを受けて、アメリカ人の雇用を守り、またOPTの乱用や詐欺行為を防ぐために、来年8月にはこの学生の就労許可制度を見直す予定となっています。
  • H1B 申請方法の改定。来年度にはH1Bの申請方法を改善するように法案がだされています。法案には (1) 枠制限のH1B雇用主のオンライン事前登録義務、(2) 抽選に優先順位を設ける (高学歴、高収入など)、(3) より優秀な人材を確保するためにH1BのSpecialty Occupation、つまり専門職、の定義の見直し、アメリカ人の雇用や賃金を守るために雇用関係の定義の見直し、などが予定されています。
  • 第5優先枠の投資による永住権申請規定改正。第5優先枠の永住権の申請方法には、自分の事業に投資する方法と、移民局に認可された地域開発センターが手掛ける投資や開発プロジェクトに投資する方法があります。来年度には地域開発センターの認可・取消方法、申請方法、認可ステータスの維持条件などの見直しがされる予定です。
  • 国際起業家法。2017年1月にオバマ大統領により、起業家が事業を起こすためにアメリカへの仮入国を許す法案が提出され、7月から施行される予定でしたが、この法案により外国人労働者を無限に受け入れることになりかねないという批判を浴びていました。このため、トランプ政権はアメリカ人の職を守るためにこの法案の施行を2018年3月まで伸ばしていました。しかしながら、この施行の遅れによって、入国できずに被害を被った企業から訴えが起こされたために、12月にはこの法案を施行するように裁判所命令が出されました。これに則って、12月14日に移民局はこの法案を施行すると発表したものの、来年度にはこの法案を撤廃する予定であるという注意も出しています。

これらの法案は一般に行政予算管理の承認を得てから、この法案の問題点などを改正するために各関係者のコメント期間が設けられるため、もし承認されれば、一定期間の審査を経てからの施行となります。雇用主は、今後の新規採用や既存社員の就労資格が今後の変化に対応できるよう、来年度の移民法案を見守る必要があると思われます。

H1B平均賃金レベルの上昇

新卒者がよく使う短期就労ビザには専門職ビザのH1Bがありますが、近年H1Bの審査基準が大変厳しくなり、追加証拠の要請が来る確率も非常に高くなっています。加えて、今年4月にトランプ大統領により “Buy American Hire American” という大統領令を発令され、労働局、移民局、国務省など各政府機関は、アメリカ人の採用を優先するように具体的な措置を取るように指示をうけました。これを受けて、米国大使館・領事館でも、ビザ面接後に追加情報の提出を求められ、ビザの発行が遅れるケースも見られるようになりました。移民局もまた、就労ビザなどの審査基準をより厳しくしているようです。

平均賃金順守義務: 他の短期就労ビザとは異なり、H1Bには平均賃金の順守義務があります。雇用主はH1B社員が就労する地域におけるそのポジションの平均賃金、もしくは同職社員に支払う賃金のいずれかの高いほうを支払わなければなりません。永住権の申請では、労働局が平均賃金のレベルを決定しますが、H1Bの場合は、申請企業がそのポジションに妥当な平均賃金を選び、その額を労働条件申請書 (Labor Condition Application) に記入して、オンラインで申請することができます。労働局はその賃金がポジションと該当地域に妥当であると判断すれば、労働条件申請書を承認します。雇用主は承認された労働条件申請書をH1B申請書類と一緒に移民局に申請します。

平均賃金レベル: 平均賃金には4レベルありますが、新卒者など関連職務経験0から2年までを条件としているようなポジションであれば、通常一番低いレベル1の平均賃金が該当します。職務経験を4年以上必要とするようなポジションであれば、一般に一番高いレベル4の平均賃金を使います。その他には、特殊な技術や知識をポジションの条件としたり、また通訳や外国語教師以外のポジションに外国語を条件とすれば、平均賃金のレベルは一つ上がっていきます。例えば、フルトン・カウンティーのメカニカル・エンジニアの平均賃金は、本年度でレベル1が$59,696、レベル2が$72,571、レベル3が$85,426、レベル4が$98,301となっています。日本語をポジションの条件とすれば、平均賃金レベルがさらに一つ上がります。

追加証拠要請: 今年4月に、主に東部を管轄する移民局のバーモント・センターは、平均賃金のレベル1か2で申請したほとんどの雇用主に対して、追加証拠の要請を出しました。過去は文系の職種のほうが審査が厳しく、アメリカ国内のエンジニア不足から、理数系のポジションは比較的無難に審査されていました。ところが、今年はエンジニアなどの理数系のポジションでさえ、平均賃金が低い場合は追加証拠の要請が発行されています。追加証拠の要請には、(1) 職務内容が専門的であるために、エントリーレベルのポジションだとは思われないので、平均賃金レベル1は妥当な賃金レベルではない、(2) 平均賃金レベル1は専門的なポジションとはみなされない、(3) 上記1番と2番の両方、などといった理由が書かれています。しかしながら、H1B専門職に平均賃金レベル1の使用を禁止するような法的条項はなく、さらに、H1Bプログラムが1990年度に始まってから、移民局は平均賃金レベル1の申請を承認してきています。また、賃金に関する問題は労働局の管轄であるために、移民局は過去には平均賃金のレベルに対するコメントは控えていました。

今回の平均賃金騒動は、アメリカ人の採用を優先する大統領令の方針に沿った新しい措置だと思われますが、法律自体を改正するまえに、政府機関が先走っているようにも見受けられます。すでに、4レベルの平均賃金を3レベルに変更し、一番低い平均賃金額を引き上げようとする法案も提出されています。また、企業内転勤に使われるLビザにも平均賃金制度を適用すべきという法案もあがっています。今後、H1Bの平均賃金がどのように変わるのか、また他の就労ビザにも平均賃金順守が義務化されるのか、今後の法案の動向を見守り、雇用主もそれに応じて、社内の賃金体系を見直す必要がでてくるでしょう。

DV-2019 抽選永住権の申請期間変更

前月の記事で、2019年度の永住権抽選(DV-2019)の受付が東部時間2017年10月3日(火)正午12時にはじまりましたと説明しましたが、10月10日から発生していた、アメリカ国務省エントリーフォームのシステム障害の影響により、2017年10月3日〜10日にDV-2019に申請した情報は無効となり、再エントリーを要請する旨の発表がありました。 既にこの技術的な問題は解決され、新たに米国東部時間2017年10月18日(水)正午から2017年11月22日(水)正午まで、応募期間を延長する旨が発表されました。2017年10月3日〜10日の期間に受領した確認番号は破棄し、新しく設定された期間内に、再度申し込みをしてください。

30・60・90日ルールの改定

アメリカに入国するためには、入国目的に応じたビザを申請する必要があります。入国後は、そのビザを延長することもできますし、一定条件を満たせば、他のビザ滞在資格への変更を申請することもできます。例外として、B2観光ビザで入国した人は、原則として入国後に学生ビザに変更することはできませんが、B2ビザ面接のときに米国大使館若しくは領事館の面接官に、アメリカに入国後学生ビザに変更する予定があることを表明し、学生ビザに必要な書類の提示をすれば、B2ビザスタンプの下方に“prospective student”との追記がされます。このような追記があった場合は、アメリカ国内で観光ビザから学生ビザに変更することができます。

さて、アメリカ国内で滞在資格を変更する場合、注意すべき点として、30・60・90日ルールがあります。アメリカに入国して30日以内に別のビザ滞在資格への変更申請を行うと、入国時の意図を偽ったと判断され、変更申請が却下されることがあります。また、入国後30日から60日以内に滞在資格の変更申請を提出すると、入国時に入国目的を偽ったのではないかと質問がくることがありますが、それに対して回答する機会がもらえます。この法律では、入国後60日が経過してから滞在資格の変更申請を提出した場合、入国時に入国目的を偽ったとみなされないため、滞在資格の変更申請が問題視されることはありませんでした。例えば、アメリカに永住する意思を表明してはいけないB2観光ビザで入国した人が、入国後60日以内にアメリカ人と結婚して永住権を申請した場合は、入国前にアメリカで結婚する予定があり、入国時に入国目的を偽ったと判断され、変更申請が却下される可能性が大きくなります。入国後30日から60日以内にアメリカ人と結婚して永住権を申請した場合は追加証拠の要請が発行され、入国時に入国目的を偽っていない証拠の提出を求められます。入国後60日が経過してからアメリカ人と結婚して永住権を申請しても、これは事前に計画したものだとはみなされませんでした。

ところが先月の9月1日には、入国時に入国目的を偽ったかを判断する基準が30/60日から90日に訂正されました。つまり、アメリカに入国してから90日以内に、入国時と異なるビザ滞在資格への変更を申請した場合、入国時の意図を偽ったと判断され、滞在資格変更申請が却下されることになります。なお、アメリカ国内での滞在資格の変更申請のみならず、例えば、入国後90日以内に、入国時に表明した目的と異なる活動を行った場合でも、後々問題となることも考えられますので、注意が必要です。

DV-2019 抽選による永住権

2019年度の永住権抽選(DV-2019)の受付が東部時間2017年10月3日(火)正午12時にはじまり、2017年11月7日(火)正午に終了します。抽選による永住権とは、アメリカ合衆国を構成する人種の中で、移民比率の比較的低い国からの移民の数を増やそうとする目的で、年に一回国務省によって行われる移民多様化のことです。申請は無料、オンラインで申請を行ない、申請者はコンピューターにて無作為に選ばれます。対象となるのはアフリカ、アジア、ヨーロッパ、北米、南米とオセアニアなど6つの地域から過去5年間において、移民ビザの発給少ない国で出生した人で、抽選で年間合計5万件の移民ビザが割り当てられます。日本で出生した人も抽選の対象となりますが、 過去5年間に5万人以上の移民を米国に送り出した下記の国の出身者は対象にはなりません: バングラディッシュ、ブラジル、カナダ、中国(本土生まれ)、コロンビア、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ハイチ、インド、 ジャマイカ、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、ペルー、フィリピン、韓国、イギリス(北アイルランドを除く)とその領土、ベトナム。香港、マカオ、台湾出生者は対象となります。本人が対象国で出生していなくとも、配偶者が対象国で出生していれば、その配偶者の出生国で申請することも可能です。また、対象とならない国で出生しても、本人の出生国が両親の出生国でなかったり、あるいは本人出生時にいずれの親も当該国の合法的居住民でなかった場合、抽選対象国で出生した親がいれば、その親の国の枠で申請することもできます。一人一回だけの抽選ですが、本人の申請とともに配偶者と21歳未満のお子様も一緒に申請することができます。一人につき2回以上申請をすると、すべての申請が無効となります。

申請方法は、オンラインリンクhttp://www.dvlottery.state.gov/にいき、申請者の氏名、生年月日、出生地、出生国、居住国、住所、イーメールアドレス、電話番号、学歴、婚姻関係、配偶者情報、子供の情報など基本的な個人情報を入力します。デジタルも写真も添付し、オンラインで提出します。提出がおわると、名前と固有の確認番号が明記されている確認画面が表示されます。抽選状況については、2018年5月1日から2019年9月30日まで国務省のサイト www.dvlottery.state.gov で確認することができます。また、ビザ手続きのインストラクションや面接日時もEntrant Status Check上で通知されます。もし当選していれば、当選確認画面にいき、永住権申請方法についての指示に従い、申請費用支払いや必要書類など準備にとりかかります。

抽選による永住権を申請するには、まず申請資格を満たさなければなりません。まず、申請者は高卒、或いは同等の教育を修了している者で小・中・高校での12年間の公認の教育課程を修了したことを証明できること、若しくは、少なくとも2年間の研修か実務経験を必要とする職業(米国労働省の定める基準に準ずる)に過去5年以内に2年以上従事していることが条件となります。米国労働省の職業基準に関してはO*NET オンライン・データベース(http://www.onetonline.org/)で確認できます。さらに、申請者は犯罪暦の有無やテロ国支援国家の出身であるかなど、米国移民法の要件を満たしているか審査されます。

永住権の資格条件を満たさない応募者の数も考慮して、当選者は申請枠よりもかなり大目に選ばれますので、当選しても必ずしも皆が皆申請を行なえるわけではありません。受領番号の若い順に申請を行ないますが、当選者は自分の順番がまわってくるまでは永住権の申請書類を提出できません。2019年の9月末までに申請の順番が回ってこなかった場合、もしくはその年の永住権発給枠が達成してしまったら、当選者の永住権申請の受付は終了します。したがって、当選したらすぐにケース番号を確認し、順番が回ってきたら速やかに申請を行うことが大切です。もし順番がまわってくる前に永住権受付が終了した場合、翌年度の抽選に再度申し込むこともできます。ただし、抽選による永住権を取りやめようという法案もでているため、来年度も抽選があるかは、今後の政府の発表を見守る必要があります。

 

永住権 ポイント・システム

今月8月2日に、米国経済立直し、米国市民の雇用促進のための移民法改正法案 (RAISE ACT) が共和党により提案されました。この法案は、永住権申請にポイントシステムを導入することにより、移民の年間受入枠を現在の年間100万人から半分の50万人に減らすことを目的としています。家族スポンサーの永住権申請では、米国市民がスポンサーできる家族の対象から親兄弟を外し、スポンサーの対象を配偶者と未成年の子供に限定しています。この法案により、現在永住権の順番待ち中の250万人ものアメリカ市民の兄弟や成人の子供は、永住権申請の資格を失うことになりかねません。また、この法案は亡命者の受け入れ枠を5万件までに減らし、年間5万枠の抽選による永住権を撤廃することも提案しています。

ポイントシステムでは、家族の繋がりや経済的需要とは関係なく、機械的に学歴や収入などの条件に応じてポイントが加算されます。特に理数系 (STEM) の高学歴者、高収入所得者や起業家を優遇することにより経済を促進し、英語を話さない未熟練労働者やその家族の数を減らすことにより新移民による福祉負担を軽減し、アメリカ人の未熟練労働者の雇用の促進を図ろうとしています。提案されているポイントシステムでは、次のような項目に対しポイントが加算されます。英語能力判定により0~12点が与えられる。年齢によるポイントでは26~30歳は10点、22~25歳は8点、31~38歳も8点、18~21歳は6点、36~40歳は6点、41~45歳は4点、46~50歳は2点、51歳以上にはポイントは与えられません。学歴に関しては、高卒者には1点、外国の学士号に5点、アメリカの学士号に6点、外国のSTEMの修士号は7点、アメリカのSTEM修士号は8点、外国のプロフェッショナル学位・STEMの博士号は10点、アメリカのプロフェッショナル学位・STEMの博士号には13点が与えられます。賃金レベルに関しては、当該州の平均賃金の150~200%の支給を受ける者は5点、平均賃金の200~300%は8点、平均賃金の300%以上を受給するものには13点が与えられます。投資者に関しては、3年間新規事業に135万ドルの投資をし、積極的に事業を管理する者には6点、この投資額が180万ドルであれば12点が与えられます。また、国際的な賞の受賞者も重視され、科学や社会学の分野でのノーベル賞受賞者もしくは同レベルの賞受賞者には25点、過去8年間にオリンピックメダルや国際スポーツ競技で優勝した者には15点与えられます。

同システムでは、アメリカ国内で需要の高い看護婦などは初級レベルでは給与レベルが低く、多くが大卒ではないために不利になる可能性があります。また、ベテラン経営者や管理職も、若手でない限りは、年齢上不利になる可能性があります。一般のスポーツ選手や芸術分野の人にも有利な条件はみあたりません。また高学歴者であってもSTEM理数分野の専攻でなければ、学歴上さほど有利にはなりません。上記のような事情から、このポイントシステムはビジネスの需要を考慮にいれていないため、アメリカへの投資意欲を減退させ、またアメリカ国内の起業家自身も他国への投資への方向転換を強いられる結果になりかねないと批判を浴びています。

永住権のポイントシステムはカナダやオーストラリアでも既に採用されていますが、これらの国は自国の移民の数を増やそうという目的でこのシステムを採用しているのに対し、アメリカのポイントシステムは移民の数を減らすことを目的としています。また、このポイントシステムは、ビジネスが必要とする特定の知識はスキルを無視しているため、果たして政府が目標としている米国経済立直しになるのかどうか、疑問視されています。また、このようなポイントシステムは雇用のオファーがなくとも高学歴であれば比較的容易に永住権を取得できるために逆に弊害がでており、実際にカナダでは博士号をもつタクシードライバーが増える結果を生んでいることから、カナダでは国内での雇用オファーがあればポイントを加算するようにシステムに改正点を加えられています。

このポイントシステムが施行されたら、現在永住権申請中の人も、ポイントシステムにより新たに永住権申請に十分なポイントを取得しなければならなくなる可能性がでてきます。また、国別枠により永住権の順番待ちが長いインド、中国、フィリピン出身国者でH1Bを6年目以降も延長している人は、ポイントシステムでの総合点が十分でない場合は、滞在資格もなくなる可能性がでてくるため、今後この法案の行方を見守り、滞在資格を維持する方法を模索する必要があるかと思われます。