DV-2020 抽選による永住権

2020年度の永住権抽選 (DV-2020) の受付が東部時間2018年10月3日 (水) 正午12時にはじまり、2018年11月6日 (火) 正午に終了します。抽選による永住権とは、アメリカ合衆国を構成する人種の中で、移民比率の比較的低い国からの移民の数を増やそうとする目的で、年に一回国務省によって行われる移民多様化のことです。2020年度には5万枠の抽選永住権が割り当てられています。申請は無料で、オンラインで申請を行ない、申請者はコンピューターにて無作為に選ばれます。対象となるのはアフリカ、アジア、ヨーロッパ、北米、南米とオセアニアなど6つの地域から過去5年間において、移民ビザの発給少ない国で出生した人で、抽選で年間合計5万件の移民ビザが割り当てられます。日本で出生した人も抽選の対象となりますが、過去5年間に5万人以上の移民を米国に送り出したこれらの国の出身者は対象にはなりません:バングラディッシュ、ブラジル、カナダ、中国 (本土生まれ)、コロンビア、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ハイチ、インド、 ジャマイカ、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、ペルー、フィリピン、ベトナム、韓国、北アイルランドを除くイギリスとその領土。香港、マカオ、台湾出生者は対象となります。本人が対象国で出生していなくとも、配偶者が対象国で出生していれば、その配偶者の出生国で申請することも可能です。また、対象とならない国で出生しても、本人の出生国が両親の出生国でない、或は本人出生時にいずれの親も当該国の合法的居住民でなかった場合、抽選対象国で出生した親がいれば、その親の国の枠で申請することもできます。一人1回だけの抽選ですが、本人の申請とともに配偶者と21歳未満のお子様も一緒に申請することができます。一人につき2回以上申請をすると、すべての申請が無効となります。

抽選による永住権を申請するには、まず申請資格を満たさなければなりません。まず、申請者は高卒、或いは同等の教育を修了している者で小・中・高校での12年間の公認の教育課程を修了したことを証明できること、若しくは、少なくとも2年間の研修か実務経験を必要とする職業 (米国労働省の定める基準に準ずる) に過去5年以内に2年以上従事していることが条件となります。米国労働省の職業基準に関してはO*NET オンライン・データベース (https://www.onetonline.org) で確認できます。さらに、申請者は犯罪暦の有無やテロ国支援国家の出身であるかなど、米国移民法の要件を満たしているか審査されます。

申請方法は、オンラインリンクhttp://www.dvlottery.state.gov/に行き、申請者の氏名、生年月日、出生地、出生国、居住国、住所、イーメールアドレス、電話番号、学歴、婚姻関係、配偶者情報、子供の情報など基本的な個人情報を入力します。デジタルも写真も添付し、オンラインで提出します。提出がおわると、名前と固有の確認番号が明記されている確認画面が表示されます。抽選状況については、2019年5月7日から2020年9月30日まで国務省のサイトで確認することができます。また、ビザ手続きのインストラクションや面接日時もEntrant Status Check上で通知されます。もし当選していれば、当選確認画面にいき、永住権申請方法についての指示に従い、申請費用支払いや必要書類など準備にとりかかります。

永住権の資格条件を満たさない応募者の数も考慮して、当選者は申請枠よりもかなり大目に選ばれますので、当選しても必ずしも皆が皆申請を行なえるわけではありません。受領番号の若い順に申請を行ないますが、当選者は自分の順番がまわってくるまでは永住権の申請書類を提出できません。2020年の9月末までに申請の順番が回ってこなかった場合、もしくはその年の永住権発給枠が達成してしまったら、当選者の永住権申請の受付は終了します。したがって、当選したらすぐにケース番号を確認し、順番が回ってきたら速やかに申請を行うことが大切です。もし順番がまわってくる前に永住権受付が終了した場合、翌年度の抽選に再度申し込むこともできます。ただし、抽選による永住権を取りやめようという法案もでているため、来年度も抽選があるかは、今後の政府の発表を見守る必要があります。

雇用主スポンサーによる永住権申請者面接義務

2017年8月に移民局は雇用主スポンサーによる永住権の申請者に対し、グリーンカード発行前に面接を義務付けると発表しました。2017年3月6日以降に永住権申請 (I-485) を提出したものが対象となります。これはテロリストの入国を阻止するための大統領令 13780, “Protecting the Nation from Foreign Terrorist Entry into the United States” の一環として、永住権申請過程に詐欺行為がなかったかを確認するための措置です。今回雇用主スポンサーによる永住権申請者全員に対して面接が義務つけられたことから、審査待ち時間に大幅な遅れらみられ、これ以前は4~6カ月ほどであった審査時間が現時点では11~23カ月まで伸びています。

滞在違反チェック】 以前は、何らかの問題が見られない限りは、雇用主スポンサーによる永住権申請者の面接審査は免除されていました。面接の通知が発行されるのは、過去に犯罪歴、逮捕歴、詐欺行為、不法就労、滞在資格違反などが見られる場合で、例えば、過去に飲酒運転で逮捕されたことのあるに者は面接通知が発行され、過去の警察書類や裁判記録などを提出し、永住権申請却下に該当する理由がないことを面接時に証明する必要がありました。逮捕や犯罪歴がある場合、道徳的犯罪 “Crime of Moral Turpitude” とみなされる行為であれば、永住権の申請は却下されますので、逮捕・犯罪行為を行った当該州法において、その行為が道徳的犯罪に該当しないことを証明する必要があります。道徳的犯罪とは一般に1年以上投獄される可能性のある意図的犯罪を指します。一般に軽犯罪はこれには該当しませんが、重犯罪となるとこれに該当します。また、移民法上は最終判決のみならず、本人の陳述書も検討するために、最終的に不起訴になった案件であっても、警察への陳述書にその罪を認めるような言動があれば、移民法上は有罪扱いとなることがあるので、注意が必要です。

雇用歴チェック】 また、昨年1月より雇用主スポンサーによる永住権申請の際に追加書類としてI-485Jの提出が義務付けられました。このフォームは雇用主スポンサー申請時に提出した雇用主情報、勤務地、職種内容などに変更がないかを確認するものです。特に永住権申請中に雇用主が変更となった場合、新しい雇用主の情報、職務内容などを記入し、転職先でのポジションが雇用主スポンサー申請時に提出した際の職務内容と同類のものである説明しなければなりません。雇用主が変更になっている場合は、新しい雇用主からのオファーレターや給与明細なども準備し、転職先の職務内容も Labor Certification や I-140 雇用主スポンサー申請で申請した内容と一致していることを説明する必要があります。

今回の雇用主スポンサー永住権申請者全員に対する面接の義務化により、過去の犯罪歴や滞在資格違反歴のみならず、永住権で申請したポジション内容に変更がないかなども厳しくチェックされるようになりました。従って、申請者は過去の職歴、現在の職務内容、永住権で申請した職務内容を正確に説明できるよう準備をする必要があります。また、本人も気が付かなかった過去の違反がないかなども、事前に確認する必要があります。例えば、H1B社員の勤務地を変更した雇用主が、移民局に訂正申請をしなければならないことを知らなかった場合など、移民法違反を問われるので注意が必要です。その他にも、H1Bで保証した給与を支払っていなかった場合、また、H1Bで申請した職務とは異なる仕事をしていた場合など、滞在資格の違反となりますので、注意が必要です。よく見られるのが、弁護士や第3者が作成した書類内容を雇用主や本人がチェックしていなくて内容を全く把握していない場合等、後になってから過去に申請した内容と実体が異なることに気づくことがあります。従って、過去の申請書類の内容に問題がないかを事前に確認して、面接時に問題なく解答できる準備をした方がよいとおもわれます。

STEM-OPT派遣による就労制限

2018年4月に移民局は、理数系学生用のSTEM-OPT保持者は、雇用主以外の場所での就労は認められないという方針を明らかにしました。つまり、派遣会社が雇用主となったり、雇用主の顧客先での就労を制限するという内容です。

STEM-OPTとは. Optional Practical Training (“OPT”) とはアメリカで大学で学位取得を目的とする学校にフルタイムで9ヶ月以上在籍した学生が、在学中もしくは卒業後に申請できる就労許可証のことです。OPTを使って卒業前、後合わせて合計で12か月まで研修・就労することができますが、理数系 (STEM) の学生であれば、OPTをさらに24か月間延長することができます。この延長をSTEM-OPTといいます。STEM-OPT申請条件として (1) STEM分野で学士、修士、博士の学位を取得済みであること、(2) OPT就労資格で米国雇用主のもとで専門分野と関連した職務に従事していること、(3) 雇用主はE-Verify 雇用資格確認システムに登録していること、(4) STEM-OPT社員がフルタイムやパートタイムのアメリカ人社員の職を奪うものではないこと、(5) 類似の仕事を行っているアメリカ人社員の雇用条件 (職務、時間、報酬など) と同等に扱うこと、などが挙げられます。また、STEM-OPTを申請するには、雇用主はこの研修期間の学習目的を明確にし、正式な研修プログラムを作成(フォームI-983) しなければなりません。

報告義務. 雇用主は学生を解雇する場合は解雇から5日以内に大学のインターナショナル・オフィスに報告する義務があります。また、研修計画に変更があれば、雇用主は事前に大学のインターナショナル・オフィスに報告し、訂正版の計画書を提出する義務があります。

学生は雇用主情報 (社名、住所など) や個人情報 (名前、住所、イーエールアドレスなど) に変更があれば、10日以内に大学のインターナショナル・オフィスに報告する義務があります。何も変更がなくとも学生は6か月に大学のインターナショナル・オフィスに変更の有無について報告する義務があります。STEM-OPT期間は60日以上雇用が中断すれば、OPTが失効してしまうので注意が必要です。

真正な雇用関係. 2018年6月に新規H1Bの申請をした雇用主が、STEM-OPTで就労している外国人社員が派遣会社を通してSTEMP-OPTを申請したことが問題視され、H1Bの審査の一環として過去に滞在資格の違反がなかったかを問われました。これはH1Bの雇用関係に関する規定と同様、STEM-OPTの雇用主も、実際に学生の研修・就労を監督する会社が雇用主として研修計画書に署名し、雇用主責任を担うという解釈です。派遣会社が実際の研修を提供し、毎日の研修の指示監督を行っていれば、派遣会社がSTEM-OPTの雇用主として研修計画書に署名し、雇用主責任を担うことができます。しかしながら、派遣会社が派遣契約のみ、あるいは給与処理など事務処理のみを行い、日々の業務の指示監督を行っていなければ、派遣会社がSTEMP-OPTの雇用主となることはできません。

職場訪問. 移民局は申請したSTEM-OPTの研修計画書の内容通りに研修を進めているかを確認するために、研修場所を訪問することもあります。もし、STEM-OPTの規定を順守していなければ、滞在資格違反を問われ、オーバーステイのカウント、さらに裁判所出頭命令の通知を受けることも考えられます。5月に発表された政府の新しい方針により、滞在資格に違反があれば学生ビザ保持者も不法滞在扱いとなり、オーバーステイが180日を超えると3年間アメリカへの入国禁止、オーバーステイが365日を超えると10年間アメリカへの入国禁止処分となります。また、7月に発表された新しい政府のガイダンスによると、滞在資格を違反した者に対して出廷通知 (Notices to Appear, NTA) が発行され、出廷通知を受け取ったら、移民裁判所に出頭し、強制退去処分の対象になるのかを判断されることになります。

1月にトランプ大統領が発表した大統領令13768、 Enhancing Public Safety in the Interior of the United Statesにより、米国内の安全強化のために外国人に対する国外退去の方針が厳しくなっていますので、雇用主も学生もSTEM-OPTの順守事項に漏れがないよう十分に注意する必要があります。

移民局による出廷通知

2018年7月5日に移民局は出廷通知 (Notices to Appear, NTA) に関する新しいガイダンスを発表しました。NTAとはアメリカから退去処分の対象になる個人に対して発行される書類です。出廷通知を受け取ったら、移民裁判所に出頭し、強制退去処分、もしくはアメリカに引き続き滞在できるのかを判断されます。

2003年度に国土安全保障省発足時に、移民に関する業務が、移民書類審査 (USCIS、移民局)、国境取締警備 (CBP、税関国境警備局) と米国内取締警備 (ICE、移民税関捜査局) の3つの機関に分けられました。しかしながら、今回のガイダンスにより、本来ならばICEが管轄する国内取締業務の一つである移民裁判所への出廷通知発行業務を、移民局も担うことになります。

今回の出廷通知は、国家安全にかかわる問題、一時的被保護資格者 (TPS) や不法移民の子ども (DACA) には適用されません。出廷通知の対象となるのは、詐欺や虚偽の申請をした者、有罪判決を受けた者、犯罪で起訴された者、もしくは犯罪行為を行った者等があげられます。これ以外にも米国市民権を申請し、道徳的人格を証明できずに却下された人、また、移民関連申請を却下された時点で、滞在資格を維持していない人なども対象となります。

例えば、H1B 保持者が移民局に滞在資格の延長申請を提出して却下された場合、審査時間が長引いたために却下時点で元の H1B の滞在資格が失効していれば、出廷通知が発行され、強制退去処分の手続きをとられることになります。また、管理職として働いている L1A ビザ保持者が永住権を申請して却下された場合、審査時間が長引いたために却下時点でLビザ滞在資格が失効していれば、出廷通知が発行され、強制退去処分の手続きをとられることになります。また、滞在資格を違反しても裁判所から強制送還の通知が来ない限りはオーバーステイ扱いとはとならなかった F1、J1、M1 の学生も、5月に発表された政府の新しい方針により、滞在資格に違反があれば今後はオーバーステイ扱いとなるようになったため、学生ビザ保持者も滞在資格に違反があれば出廷通知発行の対象となります。

今までは、H1B やLビザなどの滞在資格が失効した後に、滞在資格の延長申請や永住権の申請が却下された場合は、すぐに国外に出る準備をしてアメリカを離れることができましたが、今回のガイダンスにより、出廷通知がきたら、移民裁判所に出頭する義務が生じるため、本人が申請書類却下後にすぐに国外に出たくても出られなくなることが予想されます。しかも、現在70万もの未処理の案件を抱えている移民法廷が、今後ビザ申請書類の却下による出廷通知の対応も強いられることになれば、出頭期日までの待ち時間や強制退去手続きにもかなり時間がかかることも考えられ、また、手続きも複雑化することが想像されます。

今回の措置は2017年1月5日にトランプ大統領が発表した大統領令、13768 Enhancing Public Safety in the Interior of the United States、を受けたもので、米国内の安全強化を図るために国外退去の対象となる外国人に関するガイドラインをアップデートしたものです。法的にアメリカに滞在する外国人に対しても、あたかも意図的に法律を違反したかのような見方をする今回の措置に対して、今後訂正が加わるか見守る必要もありますが、このような状況下においては、今後は滞在資格の延長申請や永住権の申請は、現行の滞在資格が失効するかなり前に余裕をもって申請したほうがよいでしょう。また、滞在資格が失効する前に申請結果がわかるように、特急申請を利用できるビザ種類であれば、特急申請サービスを利用したほうが無難だと思われます。

学生ビザ保持者の不法滞在

2018年5月10日にF学生ビザ, J交換訪問者ビザ, M職業学生ビザ保持者の不法滞在に関する方針を変更する旨を発表しました。通常、一回の入国で許可された滞在期間を180日超えて滞在すると3年間はアメリカへの入国が禁止となります。不法滞在が365日を超えると10年間アメリカへの入国禁止となります。ただ、今までは学生ビザ保持者は、裁判官から強制送還の通知が発行されない限りは不法滞在扱いにならなかったために、この3/10年入国禁止の対象とはなりませんでした。しかしながら、今回の法律改正により、F, J, M学生ビザ保持者もI-20やDS2019に書かれてある滞在期間を超えて滞在した場合は、不法滞在扱いとなり、今後は3/10年入国禁止の対象となります。

米国に入国するためには、ビザ免除のESTA登録を行うか、もしくは有効なビザ・スタンプを申請してから入国します。入国を許可されるとその場でオンラインの出入国管理システム (I-94) に滞在期間を記入され、パスポートの入国印の下にもI-94と同じ滞在期限が明記されます。ところが、F, J, M学生ビザ保持者の場合は、特定の滞在期限がなく、I-94とパスポートの入国印の下には “D/S” と記載されます。D/SとはDuration of Statusのことで、入学に必要なI-20やDS2019に書かれてある期間まで滞在が有効であるということです。I-20やDS2019に書かれてある期間に猶予期限 (Grace Period) を足した期間を超えて滞在したり、学校に通わなくなった場合などは滞在資格の違反となりますが、I-94に滞在期限がかかれていないために、今までは滞在資格を違反しても不法滞在扱いにはなりませんでした。

今回の法律改正により、2018年8月9日以前に滞在資格を違反した場合は、(1) 非移民ビザもしくは移民ビザ申請中に自分の滞在資格を違反したことが発覚し、ビザ申請が移民局に却下された日の翌日; (2) I-94が失効した日の翌日; (3) 移民法裁判官もしくは移民不服審査会 (BIA) により強制退去処分を命じられた日の翌日、の該当項目の中で一番早い日から不法滞在扱いとなります。

2018年8月9日以降に滞在資格を違反した場合は、次の条件の中から該当する項目で一番早い日から不法滞在扱いとなります。(1) 学校の授業や許可された活動の参加を辞めた日の翌日、もしくは不法な活動に参加した日の翌日; (2) 学校の授業を完了し、OPTや猶予期限が切れた日の翌日; (3) I-94が失効した日の翌日; (4) 移民法裁判官もしくは入国不服審査会 (BIA) により強制退去処分を命じられた日の翌日。

2016年時点でアメリカには145万人ものF, J, Mのビザ保持者が滞在しており、その中でもF1ビザ保持者の6.19%、J1ビザ保持者の3.8%、Mビザ保持者の11.6%が許可された期限を超えて滞在しているという移民局の統計が報告されています。このようなオーバーステイをしている人の数を削減しようという目的で、今回の法案が発表されました。F, J, M学生ビザ保持者の配偶者や同伴家族も対象となります。

今回の法律改正により、F, J, M学生ビザ保持者は一回の滞在が180日を超えた場合は3年間のアメリカへの入国禁止となり、過去のオーバーステイが累計で1年を超えた場合、その後に正式なビザや入国許可証なしにアメリカに入国したり、入国を試みた場合は、永久に入国できなくなりますので注意が必要です。永久入国禁止の対象になった場合、入国禁止免除 (ウエイバー) の条件に該当しない限りは、将来アメリカのビザの申請、入国、永住権申請をすることはできません。例外として、18歳未満の未成年の学生は不法滞在扱いにはなりません。

今回の法律改正は大変厳しい内容となっており、ついうっかりとした滞在資格の違反が後から発覚した場合 (例えば、OPT期間失効後1日余分に仕事をした、無休のボランティア活動が後になって就労だとみなされたなど)、過去に遡って不法滞在が始まったとみなされる可能性があります。これに対し、アメリカ移民審議会から移民局宛に意見書が提出されていますが、この法律に変更点が加えられなければ、今後本人も気が付いていないような過去の滞在資格違反のために不法滞在とみなされる例が出てくると思われます。

H1B抽選とその後の対応

2018年4月6日に2019年度のH1Bビザ申請の受付が終了しました。H1Bには一般枠として6万5千枠と米国の修士・博士号取得者用の2万枠の合計8万5千枠が設けられていますが、本年度は初週におよそ19万件ほどの申請がありました。このうちおよそ9.4万件は普通枠の申請で9.6万件がマスター枠の申請でした。申請者数は2年連続で低下傾向にあり、今年の当選確率はおよそ40%くらいだと予想されます。なお、H1B枠で新規申請者のプレミアム特急申請が4月から9月末まで一時的に中止されているため、審査結果がわかるのは早い人で5月、遅い人で9月末くらいになるとおもわれます。当選した人には受領通知書が送られ、落選した人には申請書類と申請費用がそのまま返却されます。H1Bの抽選に当選した人は書類の審査に入り、申請が承認されれば10月1日の就労開始となります。では、審査期間中はどのような対応をしたらよいのでしょうか?

OPT自動延長.F1学生の場合、H1Bに当選したら、受領通知書を大学のインターナショナル・オフィスにみせれば、10月前にOPTが失効しても、OPTの期間を9月30日まで自動的に延長してもらうことができます。OPTの自動延長についてI-20に明記されますが、新しい就労カードを申請するものではないので、自動延長期間中は国外への旅行は極力さけたほうがよいでしょう。OPT期間中に90日以上非雇用状態が続くとOPTが失効するので注意が必要です。

STEM/OPT延長.H1Bが却下された場合は、その時点で自動延長されたOPTも失効します。ただし、STEM (理数系) に該当する専攻分野の学生であれば、OPTをさらに24ヶ月延長することができます。OPTを24ヶ月間延長するには、雇用主はこの期間の研修目的を明確にした研修計画書を作成し、OPTの延長申請書に添付して申請をします。また、雇用主がE Verifyに加入することも条件です。STEM学生はOPTを合計で36ヶ月申請できるので、この間最多3回までH1Bを申請することもでき、またこの間に永住権を申請することも検討できます。追加24ヶ月のSTEM-OPT期間は60日以上非雇用状態が続くとOPTが失効するので注意が必要です。

OPT猶予期間.OPT期間終了後の猶予期間 (Grace Period) 中にH1Bを申請した人は、H1B開始の10月1日までの期間は米国内に滞在することはできますが、就労することはできません。その間一旦米国を出国したら、F1/OPTの資格では入国できなくなりますので、注意が必要です。

枠免除カテゴリー. 非営利団体の大学機関、非営利団体の大学機関と連携プログラムがある機関  (たとえば、大学からインターン生をうけいれている病院など)、もしくは政府や民間の非営利のリサーチ団体などは、H1Bの年間枠の制限をうけませんので、年中いつでもH1Bを申請することができます。また、H1Bはフルタイムでもパートタイムでも申請できます。枠免除の雇用主がH1Bを申請すれば、枠免除の雇用主のもとで就労が続く限り、枠該当の雇用主も第2雇用主としてH1Bを申請することができます。ただし、この場合、枠免除の雇用主との雇用関係が終了すれば、枠該当の雇用主での雇用も無効となります。枠該当の雇用主が単独でH1Bをスポンサーするためには、翌年の年度枠で新たにH1Bを申請しなければなりません。

H1B落選.抽選に漏れてもOPT就労カードがまだ有効であれば、その有効期限まで米国内で就労することができます。その後の選択肢としては、OPTの猶予期間失効前に国外にでるか、もしくは米国内でその他の滞在資格へ変更するかになります。例えば、学校の他のプログラムに再入学してF1学生滞在資格を延長する、B2観光ビザ滞在資格へ変更申請、もしくは一旦日本にもどりESTAで再入国する、などの選択肢があります。専門的な職務経験のある人で、雇用主がEビザの条件を満たしていれば、Eビザ申請を検討することもできるでしょう。また、米国外の関連会社で1年勤務をして、1年後に関連会社間転勤用のLビザを申請するオプションもあります。研修目的であれば、米国外の大学をでて1年間の関連経験があれば、J1研修ビザを申請することもできます。米国外の大学をでていなければ、米国外で5年間の関連職務経験が条件となります。また、アメリカでの研修に関連する学歴や職歴がない場合は、H3研修ビザの申請を検討することもできるでしょう。ただし、H3はJ1とは異なり、教室内での研修が主体となるため、実地研修は最小限にとどめなければなりません。その他にも、カナダ・メキシコ人であればTNビザ、オーストラリア人であればE3ビザの申請も検討できます。また、チリ・シンガポール人にはH1B普通申請の6.5万枠の中から6,800枠が別枠として設けられているので、これらの国籍保持者であれば、この枠がなくなるまでH1Bの申請も可能です。

H-1B専門職ビザ申請受付

2018年4月1日にH-1B専門職ビザ申請の受付が始まります。H-1Bとは専門的知識を有する大卒以上の学位取得者を対象とした短期就労ビザの一種で、毎年H-1Bの就労開始日 (10月1日) の6ヶ月前の4月1日に申請受付が始まります。

H-1B年間枠.H-1Bは年間枠が65,000枠ありますが、これとは別に修士号や博士号取得者にはさらに20,000枠設けられています。この中から6,800枠はチリとシンガポール国籍者に割り当てられます。ここ数年間H-1Bの申請者は年間枠を大幅に上回っているため、申請受付は4月の初週で締め切られ、無作為の抽選で選ばれた申請者のみ審査されています。ここ数年間の当選確率は30%~50%となっています。今年も昨年同様、申請受付が4月初週の5日間のみであると予想されますので、早めに申請準備を始めたほうがよいでしょう。ただし、H-1Bの延長申請、過去6年間にすでにH-1Bを取得したもの、また、雇用主が非営利団体の大学機関、大学機関と連携プログラムがある非営利機関 (たとえば、大学からインターン生をうけいれている病院など)、もしくは政府や民間の非営利のリサーチ団体などの雇用主は、年間枠の対象とはなりませんので、4月1日の申請時期を待たずに、年中いつでもH-1Bを申請することができます。

H-1Bの申請条件.H-1Bビザは基本的には4大卒者 (もしくは同等の資格をもつもの) を対象としていますが、大学の専攻科目がポジション内容と一致していることが条件です。ただ、近年米国移民局の審査が大変厳しくなっているため、理数系以外の審査はかなり難航することが予想されます。

H-1B遵守事項.H-1B 雇用主はその地域の平均賃金もしくは同職社員に支払う賃金のいずれかの高い方をH-1B 社員に支払う義務があります。H-1Bはフルタイムでもパートタイムでも申請できますが、フルタイムの場合は最低でも年間平均賃金、パートタイムの場合は平均時給を支払う義務があります。また、H-1B 雇用主はH-1B申請前にH-1B の雇用条件 (職務、賃金、勤務場所、勤務期間などの情報) を社内2箇所に10営業日間掲示する必要があります。その他にもH-1B 雇用主はH-1B期限満了前に会社の都合でH-1B 社員を解雇した場合、その社員が自国へもどるための渡航費用をオファーする義務があります。さらに勤務地が複数にわたる場合、それぞれの地域の平均賃金を遵守する必要がありますので、注意が必要です。なお、雇用主はH-1B社員の給与や雇用条件に関し、政府役人や社員などから閲覧を求められたらすぐに開示できるように、これら情報をPublic Access File に保管する義務があります。

複数企業・転職. H-1Bはスポンサー企業での就労に限定されていることから、転職を希望する場合、新しい雇用先が新たにH-1Bの申請手続きを行わなくてはなりません。また、H-1Bはパートタイム申請も可能なため、雇用主が複数いる場合は、それぞれの雇用主がH-1Bを申請することで、複数企業で同時に就労することもできます。また、H-1B枠免除団体を通してH-1Bを取得していれば、H-1B枠免除団体での雇用が続く限りは、H-1B枠対象企業が2つ目のH-1Bを同時雇用として申請することもできます。ただし、この場合H-1B枠免除団体での雇用が終了した時点で、2つ目のH-1Bも無効となってしまいます。なお、H-1B枠免除団体からH-1B枠対象企業へ転職するときは、新たにH-1Bの年間枠の対象となりますので、注意が必要です。

申請料金.H-1Bの初回申請費用は、基本申請料金$460、詐欺防止費用$500 (初回申請のみ), ACWIA追加申請料金 $1500 (社員25名以下の場合は$750) の3通りの費用がかかります。H-1B枠免除の対象となる非営利団体はACWIA追加申請料金が免除されます。また、2015年12月の米国議会一括予算法案により、50名以上の社員をかかえる企業で、50%以上の社員がH-1BやLビザ保持者であれば、従来の申請費用に加え、さらに$4,000の追加申請費用が課せられるようになりました。

なお、今回の新規H-1B申請は昨年度同様に規定枠を大幅に超える申請数があると思われるため、移民局はH-1Bの枠制限を受ける新規申請者の特急申請 (プレミアムプロセシング) サービスを4月から9月末まで一時的に停止すると発表しました。ただし、年間枠の制限を受けないH-1Bの延長申請や特別な例外事由に当てはまる場合は引き続きプレミアムサービスをご利用いただけます。

移民法改正法案上院で否決

2018年2月15日に移民法改正法案と訂正法案を含む4つの移民改正法案が、可決に必要な60票を獲得できずに、すべて上院で否決されました。

まずは、トランプ政権の意向を反映した共和党上院議員7名から提案された法案Secure and Succeed Act of 2018には、特定条件を満たすDreamerと呼ばれる合法滞在資格をもたない若者に市民権申請の権利を与える代わりに、アメリカ・メキシコ間国境に壁建設費用$25ミリオン予算の確保、国境取締強化、不法移民の退去強化 (癌患者の子供を持つ親、学校の先生、ドリーマー、家庭内暴力被害者を含む)、抽選永住権排除、永住権申請者数の大幅カットなどの条件を含まれていました。この法案により、芋づる式に親兄弟や成人の子供などの家族を呼び寄せることができなくなり、アジアや中南米からの移民の数が激減し、また、アメリカ経済の発展に不可欠な労働層の受け入れが減ることによりアメリカ経済へ多大な打撃があると懸念されていました。この極端な移民法取締案のために、ドリーマーのアメリカ市民権申請法案まで一緒に否決されるのを回避するために、ラウンド上院議員 (共和党) とキング上院議員 (無所属) を始めとする25名の両党と無所属の共同訂正法案が提案され、ドリーマーにアメリカ市民権への道を与える代わりに、トランプ政府の提唱する国境の壁建設費用$25ミリオン予算は確保すること、ただし現行の移民法システムを極端に改正するのではなく、子供の不法移民を手伝った親の永住権はスポンサーできないことを提案しました。これに対し、マケイン上院議員 (共和党) とクーン上院議員 (民主党) は、国境の壁建設予算は法案から削除し、ドリーマーにアメリカ市民権への道を与えるのと引き換えに、アメリカ・メキシコ間の国境警備を増強するように提案しました。しかしながら、いずれの法案も可決に必要な60票を獲得することができず、ドリーマーのアメリカ市民権への道は絶たれてしまいました。

その他にはStop Dangerous Sanctuary Cities Actも否決されました。Sanctuary Cities とは、全米におよそ300ほどある聖域都市のことで、これら都市はもともと1980年代に地元住民の宗教的信念とエルサルバドールやグアテマラなどの中南米からの亡命者の受け入れを拒否していた州政府に対抗する措置として、地元の教会を中心に人道的な救済措置としてできたものです。これら地域は不法移民に対して比較的寛容で、不法入国者の家族が離れ離れにならないように、不法移民の取締りや情報提供に関して政府との協力を拒んでいます。例えば、警察に犯罪を通報したものが、逆に不法移民だという理由で逮捕されることがないように、地域の安全確保の意味からも当該都市の警察官は住民の滞在資格を調査する権限は与えられておらず、不法移民でも逮捕される危険を冒さずに犯罪を通報することができるように配慮しています。また、不法移民は米国市民とほぼ同様の公共サービスを受けることができ、子供が公立学校に通ったり、病院の治療を受けることができ、不法移民という理由で逮捕されたり強制送還されることはありません。結果的に、これら聖域地域には難民、亡命者、不法滞在者やその他身の安全を確保する目的の者が多く集まってきており、聖域都市の政策に反対する者は、これら都市は犯罪者の集まりを助長しており、聖域都市も連邦当局と協力して不法移民や犯罪者などの調査を行うべきだと主張しています。これに対し聖域都市の擁護派は、これら都市では犯罪率が非常に低く、亡命者や不法移民も経済に貢献しており、彼らの受け入れと犯罪の関連は見られないと主張しています。Stop Dangerous Sanctuary Cities Actは、聖域地域が不法移民の滞在資格の情報提供や政府からの不法移民拘留や釈放の要請を拒んだ場合、当該政府が経済開発補助金や地域開発補助金を受ける権利を剥奪するとしていますが、この法案も否決されました。

これら4法案が上院で否決されたことにより、極端な移民取締措置が取られることはなくなったものの、この法案により救済されたであろう180万人ものドリーマー (不法滞在の若者たち) の将来像が見えなくなってきました。その中でも既に暫定的就労許可証を与えられている69万人ものDACAと呼ばれる若者も、今後就労許可証を延長し続けることができるのか、先行きが危ぶまれます。

DACA就労許可証の延長

2012年6月15日にオバマ政権下は、アメリカに不法に滞在している若者が一定条件を満たせば就労許可証を申請できるよう、DACAという暫定救済措置 を発表しました。これはDeferred Action for Childhood Arrivalsといいます。これは子供の時に親に連れられて、適切なビザ書類を持たずに国境を超えてアメリカに入国した若者が、即強制退去処分に合わないように、テンポラリーな就労許可証を与えるという救済措置です。DACAにより就労許可証を申請するには、2007年以前に16歳未満で米国に不法入国し、米国に5年以上滞在し、犯罪歴のないことが条件です。この措置により、80万人もの若者が就労資格を与えられ、アメリカの多くの企業もこれらの人材を数多く採用するようになりました。

ところが、トランプ大統領が選挙中からDACAを撤廃すると公約していました。2017年5月にはテキサス州を筆頭に10州が、DACAを段階的に廃止するアクションを取り、新規申請や延長申請を中止しなければ、法的措置を取るというレターを米国法務長官に送付しました。これを受けて、DACAは行政機関による越権であり、DACAプログラムは違法である可能性が高いと、法務長官は国土安全保障省に意見を述べました。翌日の9月5日にトランプ政権はDACAを取り消すと正式に発表しました。この発表により、9月5日で新規のDACA申請を受け付けは終了し、DACAの延長申請は10月5日で打ち切られました。また、9月5日にDACA申請者による旅行許可証の申請受付も打ち切り、その時点で申請中の案件もすべて返却されるという趣旨でした。

これに対し、9月8日には、カリフォルニア大学がDACA取消措置を禁止するように提訴しました。翌日9日には、連邦地方裁判所によりDACAの一部をそのまま維持するように命令が出され、DACAの延長申請は引き続き受け付けられるようになりました。この裁判命令により、2016年9月5日以降にDACAが失効した人は延長申請をすることができますが、現在DACAが有効である人は、現存のDACAが失効する150日から120日の間に申請するのが望ましいと指示がでています。2016年9月5日以前にDACAが失効した人は、新規申請として申請することができます。今まで一度もDACAを申請したことのない人の新規申請は受け付けられません。また、旅行許可証に関しては、現時点では受け付けない、また審査しなくてよいという裁判所の意見です。しかしながら、この裁判命令に対して、政府は上訴する構えを見せているので、DACAの延長申請は早めに行った方がよいと思われます。また、雇用主としては、DACAによる就労許可証で働いている社員に対しては、今後の政府による上訴の動向を見守りながら、適切な対応をすることが重要であると思われます。

また、2018年1月19日 (金) の夜中に連邦政府の暫定予算案が上院で可決を得られずに、20日 (土) から連邦政府が一部閉鎖状態に追い込まれました。民主党はドリーマーと呼ばれる不法移民の子供たちに対して何らかの救済措置をとらなければ暫定予算案に同意できないと主張しているのに対し、共和党は政府機能が再開しなければ、DACAに関する移民法法案の検討はできないと反論しています。民主党は、米・メキシコ間の壁の建設に関する討論も行う構えを見せて大幅に譲渡をしているものの、現時点では両党が妥協できる点を見出してはいません。これにより、数々の政府機関が閉鎖状態に陥いっていますが、ここ数日から数週間以内で両党が妥協点を見出すことがきれば、政府機能も回復し、DACAに関する措置も前進が見られるかもしれません。

2018年度の移民法案

トランプ政権は2018年度の法案の議題予定について発表しました。2017年4月に“Buy American, Hire American”という大統領令を発表してから、外国人のビザ審査が一層厳しくなりましたが、来年度もさらに外国人に対して厳しい法案が出される予定です。来年度には抽選永住権の撤廃、亡命者の受入制限、特にアジア人やメキシコ人に多い家族スポンサーによる永住権対象者から親兄弟を取り除くなど、全般的に有色人種の移民に対する制限が強くなるように思われます。来年度の議題の中から、就労や投資ビザに関する主なものを下記に説明します。

  • H1B 配偶者の就労許可証廃止案。2015年5月26日に、H1B保持者が永住権の申請を始めて特定条件を満たせばH4配偶者は就労許可証を申請できるようになりました。しかしながら、H4配偶者の就労許可には賃金や職種の制限がないため、特にコンピューター業界でアメリカ人の職を奪っていると批判され、アメリカ人の雇用を守るために、来年2月にはこの法案を撤回する法案が提出されています。
  • Optional Practical Training (OPT) 就労許可証の改善。FやMビザの学生が学期中もしくは卒業後に申請できるOPT就労許可証は、学生の専攻分野と同じ分野で研修や就労することができますが、賃金の規定が比較的に緩いことから、IT職種などでアメリカ人の就労を奪っていると批判されていました。これを受けて、アメリカ人の雇用を守り、またOPTの乱用や詐欺行為を防ぐために、来年8月にはこの学生の就労許可制度を見直す予定となっています。
  • H1B 申請方法の改定。来年度にはH1Bの申請方法を改善するように法案がだされています。法案には (1) 枠制限のH1B雇用主のオンライン事前登録義務、(2) 抽選に優先順位を設ける (高学歴、高収入など)、(3) より優秀な人材を確保するためにH1BのSpecialty Occupation、つまり専門職、の定義の見直し、アメリカ人の雇用や賃金を守るために雇用関係の定義の見直し、などが予定されています。
  • 第5優先枠の投資による永住権申請規定改正。第5優先枠の永住権の申請方法には、自分の事業に投資する方法と、移民局に認可された地域開発センターが手掛ける投資や開発プロジェクトに投資する方法があります。来年度には地域開発センターの認可・取消方法、申請方法、認可ステータスの維持条件などの見直しがされる予定です。
  • 国際起業家法。2017年1月にオバマ大統領により、起業家が事業を起こすためにアメリカへの仮入国を許す法案が提出され、7月から施行される予定でしたが、この法案により外国人労働者を無限に受け入れることになりかねないという批判を浴びていました。このため、トランプ政権はアメリカ人の職を守るためにこの法案の施行を2018年3月まで伸ばしていました。しかしながら、この施行の遅れによって、入国できずに被害を被った企業から訴えが起こされたために、12月にはこの法案を施行するように裁判所命令が出されました。これに則って、12月14日に移民局はこの法案を施行すると発表したものの、来年度にはこの法案を撤廃する予定であるという注意も出しています。

これらの法案は一般に行政予算管理の承認を得てから、この法案の問題点などを改正するために各関係者のコメント期間が設けられるため、もし承認されれば、一定期間の審査を経てからの施行となります。雇用主は、今後の新規採用や既存社員の就労資格が今後の変化に対応できるよう、来年度の移民法案を見守る必要があると思われます。