2017年4月: H1B抽選結果

2017年4月7日に2018年度のH1Bビザ申請の受付が終了しました。H1Bには一般枠として6.5万枠と米国の修士・博士号用の2万枠の計8.5万枠が設けられていますが、本年度は初週に19.9万件の申請があり、昨年度の23.6万人に比べ16%減となりました。ここ数年H1Bの当選確率の低迷が続いたのと、今後H1B監査が強化されるなど先行きの見通しが悪いために、申請者数が減ったのではないかと思われます。11日にまずマスター枠の抽選が行われ、その後にマスター枠落選者を含んだ普通枠の無作為の抽選が行われ、当選確率は昨年度の30%より大幅に上回る43%となりました。当選者の受領通知書の発送がすでに始まっていますが、今年は4月3日からすべてのH1Bのプレミアム申請が6ヶ月間中止したため、結果がわかるのは早い人で4月、遅い人で9月もしくはそれ以降になると思われます。当選者には受領通知書が送られ、落選者には申請書類と申請費用が返却されます。当選者は申請が承認されれば10月1日の就労開始となります。では、審査期間中はどのような対応をしたらよいのでしょうか?

OPT自動延長.F1学生は、OPTが10月前に失効する場合、H1Bに当選したら、大学のインターナショナル・オフィスに受領通知書を見せて、OPTの期間を9月30日まで自動延長してもらうことができます。OPT自動延長はI-20に記載されますが、新しい就労カードを申請するものではないので、自動延長期間中は国外への旅行は極力さけたほうがよいでしょう。またOPT期間中に90日以上非雇用状態が続くとOPTが失効するので注意が必要です。

STEM/OPT延長.H1Bが却下された場合、その時点で自動延長されたOPTも失効します。ただし、STEM (理数系) に該当する専攻分野の学生であれば、OPTをさらに24ヶ月延長することができます。OPTを24ヶ月延長するためには、雇用主がE-Verifyに加入し、24ヶ月間の研修計画書を提出することが義務づけられています。24ヶ月のOPT延長期間は60日以上非雇用状態が続くとOPTが失効するので注意が必要です。STEM学生はOPTを合計で36ヶ月申請できるので、この間最多3回までH1Bを申請することもできますが、永住権の待ち時間が少ない国籍保持者であれば、この間に永住権を申請することも検討できます。

OPT猶予期間.OPT期限失効後の60日間、つまりOPTの猶予期間 (Grace Period) 中にH1Bを申請した人は、当選すれば、H1B開始の10月1日まで米国内に滞在することはできますが、就労することはできません。ただし、その間に米国を出国したら、F1/OPTで入国できなくなるので、要注意です。

枠免除カテゴリー. 非営利団体の大学機関、非営利団体の大学機関と連携プログラムがある機関 (たとえば、大学からインターン生をうけいれている病院など)、もしくは政府や民間の非営利研究団体などは、H1B年間枠の対象とならないので、年中いつでもH1Bを申請することができます。また、H1Bはフルタイムでもパートタイムでも申請できるので、枠免除の雇用主がH1Bを申請すれば、枠免除の雇用主のもとで就労が続く限り、年間枠対象の雇用主も第2雇用主としてH1Bを申請することができます。ただし、枠免除の雇用主との雇用関係が終了すれば、年間枠対象の雇用主との雇用も無効となります。年間枠対象の雇用主が単独でH1Bをスポンサーするためには、新年度枠で新たにH1Bを申請しなければなりません。

H1B落選.抽選に漏れてもOPT就労カードがまだ有効であれば、その有効期限まで米国内で就労することができます。その後の選択肢としては、OPTの猶予期間失効前に国外にでる、F1学生滞在資格を延長する、B2観光ビザに滞在資格を変更するなどの選択肢もありますが、一旦国外にでてESTAやB2観光ビザで再入国することも考えられます。もし、専門職経験が十分にある人であれば、Eビザを申請する、もしくは、米国外の関連会社で勤務をして、1年後に関連会社間転勤用のLビザを申請することも検討できるでしょう。研修目的であれば、米国外の大学を出て国外で1年間の関連経験があれば、J1研修ビザを申請することもできます。米国外の大学をでていなければ、米国外で5年間の関連職務経験が条件となります。その他にも、カナダ・メキシコ人であればTNビザ、オーストラリア人であれば、E3ビザでの採用も可能です。また、同じH1Bでもチリ・シンガポール人には別枠が設けられているので、これらの国からの採用も可能です。

2017年3月: テロリスト入国防止の新大統領令の差止め

3月6日にトランプ米大統領は、1月27日に発表された大統領令の改正版を発表した。最初の大統領令はテロリストの入国防止を目標とし、イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの7か国出身者の入国を90日間禁止し、難民の受け入れを120日間凍結、その中でもシリアからの難民を永久に停止するという内容であった。ところが、この法案は連邦地裁により執行を差止められ、トランプ政権による上訴も却下された。当初連邦最高裁まで争う姿勢を見せていたトランプ政権は、急遽上訴を取下げ、改正版を発表する方針に転換した。

前回の大統領令は、事前の予告やコメント期間を設けずに、金曜日の夕方の緊急発表と同時に施行が開始された為、全米の空港で対象国からの旅行者が到着後入国できずに拘束されたり、また各国の空港でアメリカ行の飛行機への搭乗が拒否されたり、世界中で大混乱がきたされた。今回はこのような混乱を回避する為に発表から施行までは10日ほど間があけられた為、前回のような世界レベルでの混乱を招くことはなかった。

新大統領令では、シリアからの難民受入停止項目が削除され、前回同様年間難民受入数が11万から5万人に削減された。また、イラク政府は旅行者の情報共有やビザ審査に関する協力に合意した為に新大統領令の対象国から外された。新大統領令は、3月16日の発効日時点に国外におり、その時点で有効なビザを持たない6カ国出身者を対象としている。対象国出身者であっても、永住権保持者、外交ビザ保持者、大統領令施行前に既に亡命・難民ビザを発行された者、二重国籍保持者で非対象国の旅券で入国する者、大統領令発効日時点で有効なビザ保持者は対象外とされる。しかしながら、これには例外措置が設けられており、入国拒否により旅行者に過度な困難が生じ、旅行者の入国が国家安全を脅かすものではなく、さらに旅行者の入国は国家に利益をもたらすことが証明できた場合は、審査官はその裁量権限によりビザを発行することができる。また、ビザの延長申請者に与えられるビザ面接免除プログラムが停止される。

この新大統領令の発表をうけ、各州で施行の緊急差止めの訴えが出された。ハワイでは、この新大統領令はイスラム教徒に対する差別的行為であり、米国合衆国憲法や移民法上の正当な手続きを経ずに、法的根拠もなく、憲法で守られている個人の信仰や旅行する自由を奪っている、とハワイ州政府がトランプ政権を相手に訴えを起こし、大統領令施行前日の3月15日にハワイの連邦裁判所により緊急差止め命令が出された。新大統領令の条文には、“イスラム教徒”を名指しにはしていないが、最初の大統領令の難民受入中止項目の中に、迫害を受けた少数派宗教は例外扱いする項目が設けられていた為に、大統領令はキリスト教徒を優遇しており、イスラム教徒に対する差別的行為であると非難されていた。その為、新大統領令では少数派宗教を例外扱いする項目が削除された。これをもって、新大統領令は反イスラム政策ではないとトランプ政権は主張したものの、トランプ大統領の選挙演説の公約にもイスラム教徒の完全入国禁止をあげていたことからも、イスラム教徒に対する差別的意図は明らかである、とハワイ政府側はトランプ政権の憲法違反を主張した。

連邦政府は、大統領には国家安全事項に対する多大な権限が与えられており、今回の差止判決は越権であると批判しており、連邦最高裁まで争う姿勢をみせている。現在、米国最高裁の判事は保守派とリベラル派が4対4に分かれているが、トランプ大統領により選ばれたコロラド州デンバーの第10連邦巡回控訴裁のニール・ゴーサッチ判事 (保守派) の最高裁判事9人目への任命が確定すれば、今後の連邦最高裁の判決は保守派志向に変わる可能性もある。また、最高裁判事の任命確定は新大統領令の上訴にも影響すると思われるが、これに引続き、オバマ大統領時に4-4の引分判決で可決しなかったDACA拡張法案にも多大な影響が及ぼされるものと思われる。当該国のイスラム教徒やDACA就労許可証で働く若者を抱える研究施設、医療機関、一般企業としては、今後の該当社員の滞在資格や出入国について、引続き裁判状況や政府の方針に注意する必要があると思われる。

2017年2月: 大統領令による特定イスラム国出身者の入国禁止

トランプ米大統領は1月27日、国家安全確保を理由に、特定イスラム圏市民の90日間入国禁止、難民の受け入れを120日間凍結、その中でもシリアからの難民を永久に停止する大統領令を発令した。入国禁止の対象となったのはイラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメンの7か国で、9/11のテロ犯の主な出身国であるサウジアラビア、エジプト、レバノン、アラブ⾸⻑国連邦は対象とされていない。この大統領令を受けて各国の米国大使館ではこれらの国の旅券保持者へのビザの発行が停止され、またすでにビザが発行された人も飛行機への搭乗拒否や米国各地の空港で入国拒否されるなど、金曜日の夕方から週末にかけて、拘束者の解放を求めて全米規模で抗議運動が起こった。

これに対し、29日には各地の連邦地裁に訴えが提出され、連邦地裁は大統領令執行を差止めし、有効なビザ保有者の入国許可を命じた。トランプ政権はこの判決を不服として2月5日に第9巡回連邦控訴裁判所に上訴したが、その訴えは却下された。したがって、現時点ではトランプ大統領令の執行は停止されているため、入国禁止令で無効とされた約6万人のビザは再び有効とされ、入国が認められるようになった。

今回の大統領令は過激イスラムテロの防止という名目であるため、一見日本人とは関係が薄いように思われがちだが、実はこの大統領令を正当化している理由は日系社会とも深い関係がある。ちょうど75年前に第二次世界大戦中の真珠湾攻撃を受け、1942年2月19日に前ルーズベルト大統領により大統領令9066が発令された。これをうけ、日系アメリカ人はアメリカ国家の安全を脅かす存在であるとの理由で、12万人もの日系アメリカ人が強制収容施設に退去させられた。その中でも強制収容施設行きを拒み逮捕されたフレッド・コレマツ氏は、特定人種に対する適正過程を経ない差別的行為は違憲であると連邦最高裁まで争ったが、戦時下において敵国日本人を祖先にもつ日系アメリカ人の強制収容は軍事上必要であるという理由で、彼の逮捕は有効とされた。しかしながら、実際には日系アメリカ人はアメリカ国家の安全に危害を加える危険はなく、日系人強制収容は偏見や差別に満ちたものであるという機密調査報告書が政府に提出されたにもかかわらず、この報告書の内容が政府の対日系アメリカ人政策に反すると理由で隠蔽されたのであった。アメリカ連邦最高裁には日系アメリカ人強制収容の軍事上の必要性について虚偽の証拠が提出されていたことが40年後に発覚し、これを元にコレマツ氏は誤審審理の申し立てを行った。カリフォルニア州連邦地方裁判所はコレマツの有罪判決を〝明らかな不当行為〟で無効であると判断し、1983年にコレマツ氏はようやく名誉回復の判決を得ることができた。

また、2001年には9/11同時テロ爆発事件が発生し、アラビア系住民が適正過程を経ない差別的行為の対象となった。ブッシュ政権は戦犯法廷を設置し、グアンタナモ拘留者がアメリカ本土で裁判を受ける権利を剥奪した。今は亡きコレマツ氏も2004年にブッシュ大統領に対し、米国政府はかつて日系アメリカ人に対して行った過ちを二度と繰り返してはならない、と意見書を送ったが、皮肉なことに、このような不当行為を正当化することができた理由に連邦最高裁のコレマツ判決がある。確かにコレマツ氏の判決は無効とされたものの、下級審である連邦地裁の判決は連邦最高裁の判決を拘束するものではない。そのために1944年の連邦最高裁の判決、つまり、軍事的必要があると判断された時、正当な法の手続きを踏まずに特定人種を強制退去することができる軍事令を発するのは合憲である、という先例は未だ有効である。

トランプ政権はさらに連邦最高裁上訴する構えをみせていたが、結局上訴を取りやめ、新たに訂正版の大統領令を発表する方針に転換したので、訂正案の発表に注意する必要がある。また、過激派テロ防止政策以外にも、メキシコ国境からの入国時に永住権放棄書に署名を強制しようとする入国官がいるという情報もはいってきている。したがって、入国に関しては専門家の意見を求め、個人の権利をしっかりと把握する必要がある。また、今後LやH1Bを含め各種ビザプログラムの内容にもさらなる規制が加わる可能性があるので、今後の移民法の変化に対応できるよう、引続き政府の方針に注意する必要がある。

2017年1月: トランプ新政権による移民法改正の行方

2017年1月20日のトランプ新政権発足に伴い、上院司法委員のグラスリー上院議員とダービン上院議員により非移民就労ビザの法案が提出されると発表されました。この法案は主にH1BとLビザプログラムの規制強化を目的に2007年に提案されましたが、未だに可決されていません。H1BとLビザプログラムは、アメリカの高度技術者の不足を補強する意味で作られたビザですが、実際にはこのプログラムを悪用して、国外から安価な労働力を輸入してアメリカ人の雇用を奪っている企業があるとの批判が高まっていました。その為に、これらのビザプログラムの監督強化、賃金条件の改善、またアメリカ国内の労働者を保護することにより、このプログラムの健全性を回復しようという意図でこの法案が提出されました。

L1ビザの主な改正点は、(1) 最低賃金の設定、(2) 国土安全保障省による監査実施、(3) 関連会社間派遣に実態のない幽霊会社を使っていないことの確認、さらに (4) L1Bビザの資格条件である “specialized knowledge” の定義に変更を加えることにより派遣社員が確実に重要人物であることを保障する、といった点です。

H1Bビザに関しては、アメリカ人の雇用確保が第1優先事項である為、先ずは現在の永住権申請のように、外国人を雇用する前に、誠意をもってアメリカ人の雇用を検討しなければならないとしています。次に、アメリカ国内の労働力が不足している場合は、国外から労働力を輸入するのではなく、アメリカの大学で教育を受けた者を優先して採用しなければならないと提案しています。このような優先順位を設けることにより、アメリカ人とアメリカで卒業した非移民労働者両方の雇用保護を強化することができると説明しています。

さて、H1Bには4大卒用の6.5万件と米国の修士号以上の学位取得者用の追加2万件の計8.5万件の年間枠が設けられていますが、ここ数年間は申請者数が年間枠を大幅に上回っていた為に、H1Bの申請期間は、毎年受付開始の4月初週の7日間に限られていました。申請者は無作為の抽選にかけられ、当選した者だけ審査されました。昨年度で23万件以上の申請があり、当選確率はおよそ30%程にとどまっています。

この法案では、無作為の抽選によりH1B申請者を選ぶのではなく、H1Bに優先順位を設けてより優秀な者にビザを与えるように提案しています。優先順位システムでは、高学歴取得者 (修士号、博士号など) 、高収入所得者、高度技術保有者が優先されます。また、国外から外国人労働者を大量に短期的に受け入れる企業は、調査の対象となります。更に、社員が50名以上いる雇用主は、H1BやL1ビザ社員を半数以上雇用することを禁止されます。

政府の移民法委員会のセッションでは、この法案はH1B枠の60%以上を占めるインド系のIT派遣会社2社によるH1Bの悪用を是正するのが主な目的であることを明確にしています。この2社がインドから安価なコンピューター技師を次々と短期的に派遣し、アメリカ人技師の解雇に拍車をかけていることが問題視されています。一方、中小企業や新規起業の雇用主は、アメリカ人技術者やエンジニアが圧倒的に不足している為に、アメリカの大学から外国人を高額で採用したいが、H1B枠が足りない為に採用することができないと訴えています。また、高度な技術を保有するH1B社員の雇用は、他部門のアメリカ社員の雇用につながるが、逆に外国人を雇用する為の就労ビザを確保できなければ開発自体がなくなり、アメリカで教育を受けた人材や技術が国外に流出してしまう恐れがあるとも指摘しています。したがって、移民法改正を行うにあたり、新政府はH1BやLビザプログラムを悪用している企業を規制すると同時に、アメリカ人の雇用に貢献する企業がH1Bで優秀な人材が確保できるよう、うまくバランスを図らなければならないでしょう。もし本法案が可決すれば、アメリカに滞在する多くの日本人にも影響があるものだとおもわれますので、今後の成り行きを見守る必要があるでしょう。

2016年12月: 高度技術者の永住権・短期就労ビザに関する法律改正

2016年11月18日に米国国土安全保障省は、高度技術者の永住権・短期就労ビザに関する特定法律項目の改正点を発表しました。この法律は2017年1月17日から適用となります。下記に主な改正点を説明します。

  • 雇用主移民スポンサー申請に伴う就労許可証(EAD)の発行

これは雇用主スポンサーの第1・第2・第3優先枠で永住権を申請するものが永住権申請中に短期就労ビザが失効して仕事が中断することがないように、もっと早めに就労許可証を申請できるように改正されたものです。

現存の規定では、永住権申請の第1段階のPERM Labor Certification と第2段階のI-140雇用主移民スポンサー申請時点では就労許可証を申請することができません。就労許可証は、永住権の最終段階申請時(I-485)に申請します。したがって、第1段階と第2段階の申請中に短期就労ビザの最長期限が切れた場合、その時点で就労が中断してしまう可能性があります。また、就労許可証を入手するまで、何らかの短期就労ビザ滞在資格を維持できなければ、途中で国外に出る必要もでてきます。

ただ、例外としてH1B保持者に限り、Labor Certificationが承認されて1年が経過している場合、もしくは、I-140雇用主移民スポンサー申請が承認されているが最終段階の滞在資格申請(I-485)まで待ち時間がある場合は、H1Bの最長期限6年目以降もH1Bを延長することができますが、その他のビザ保持者にはそのような便宜は設けられていません。

今回の法律改正は、このように永住権申請に伴う就労許可証を取得する前に短期就労ビザ滞在資格が切れて仕事が中断することがないように、もっと早い段階で就労許可証を申請できるように取り計らったものです。1年有効な就労許可証(EAD)を申請するためには、下記の条件を満たしていることが条件となります: (1) E3, H1B, H1B1, L1, O1のいずれかの短期就労ビザを保持している、もしくはその同伴家族として滞在している; (2) I-140雇用主移民スポンサー申請が承認されている; (3) 永住権申請の待ち時間があるためにI-485を未だ申請できない;(4) 短期就労ビザでの就労が継続できない“切迫した事情 (compelling circumstances)”がある。 尚、新しい就労許可書を申請するためには申請費用支払いのほかに指紋押捺義務が追加されます。

  • 短期就労ビザ保持者のGrace Period(猶予期間)

就労期間前後:現行の法律では短期就労ビザの中ではH1Bのみ、就労期間開始前および承認期間満了後に10日間のGrace Period(猶予期間)がそれぞれ設けられていますが、その他の短期就労ビザ保持者には承認・許可された就労期限の前にも後にも何らのGrace Periodは設けられていません。そのため、ビザの有効期限前にアメリカに入国することはできず、また就労承認期限が切れる前に出国の準備をしなければなりません。

しかし、今回の規定改正により、E1, E2, E3, L1, TNなどのビザ保持者にも就労許可期間前後に10日のGrace Periodが与えられます。従って、これらのビザ保持者も就労期間開始の10日前から米国に入国が可能となり、就労期間満了後の10日間のGrace Periodの間に帰国の準備をしたり、滞在期間の延長申請をしたり、またそのほかのビザへの切替申請を行うことができるようになりました。ただし、このGrace Periodの間は滞在は合法となりますが、仕事をすることはできません。

途中解雇の場合: 現行法では短期就労ビザ保持者が、就労承認期間満了前に雇用が終了した場合、その時点で滞在資格がなくなってしまいます。H1B 保持者も承認期限満了前に雇用が終了した場合は、10日間のGrace Periodは与えられません。そのため、雇用終了前に他の滞在資格への変更申請を提出するか、もしくは新雇用主が雇用主変更申請を移民局に提出していなければ、申請者は一旦国外に出なければなりませんでした。

しかし、今回の規定改正により、E1, E2, E3, H1B, H1B1, L1, O1, TNビザ保持者が就労許可期間中に雇用が終了した場合、雇用終了後Grace Periodが最長60日与えられます。ただし、移民局から認められた滞在期間の方が短い場合は、短い方の期間までの滞在が認められます。従って、雇用終了後すぐにはオーバーステイは始まらないので、Grace Periodが終わるまでに新しい雇用主を探し、アメリカ国内で雇用主変更申請を行うことが可能となります。

2016年11月: 新政権下におけるDACAの先行き

2012年6月15日に、一定条件を満たす不法滞在の若者が、一時的に強制退去処分対象からはずされ、その間就労許可証を与えられるという暫定救済措置 (DACA)が発表された。この措置により、いままでにアメリカで育ち学業を修めた75万もの若者が一時的に滞在・就労資格を取得し、52.5万もの若者がDACA資格の延長を承認されている。この措置により、アメリカ国内の企業も、DACAにより就労資格を与えられた若者を数多く採用するようになった。

2014年11月20日には、不法入国した親もこの救済措置の対象となるように (DAPA)、米国に不法入国してから5年以上滞在し、犯罪歴がなく、その子供が米国市民権や合法滞在資格をもっていれば、一時的な合法的滞在資格を与えるという大統領令が発表された。2012年のDACAでは、2007年以前に16歳未満で米国に不法入国したものが対象であったが、2014年の大統領令では対象者の範囲が拡大され、16歳未満で米国に不法入国した犯罪歴のない子供で、2010年1月1日より継続して米国に滞在している15 歳以上の学生を対象としている。 ところが、この大統領令は越権であると共和党の猛反対にあい、発令の翌月には南部州を中心に26州が南部テキサス州の連邦地裁に提訴したために、2015年2月18日から開始する予定であった新DACAとDAPAの実施が一時的に差し止められた。この大統領令は、最高裁まで争われたが、2016年2月に最高裁のスカリア判事が急死したことから、最高裁は一人欠員で8人構成となってしまい、結局4対4の引き分けで、結論がでなかった。オバマ大統領は9人目の判事を任命しようとしたが、またもや共和党の反対に会い、新大統領の宣誓式がおわるまで先送りとなってしまった。

このような状況の中で大統領選が行われたが、共和党が擁立したドナルド・トランプの勝利により、DACAプログラムの存続が危ぶまれている。トランプ次期大統領は選挙公約でDACAの撤廃を掲げている。また、最高裁9人目の判事は、共和党よりの判事が任命される可能性が高まってきたため、新DACAとDAPAが承認される目処はほとんどなくなったといえる。既存のDACAプログラムに関しては、DACAプログラムを完全に撤廃するのか、新規申請受付のみ停止するのか、延長申請受付も停止するのか、既存のDACA保持者の資格も取消すのかなど、まだ具体的な方針は打ち出されていない。また、次期大統領就任後100日以内のトップ・プライオリティーとして、来年早々DACA撤廃に取り組むのか、それとも1.3ミリオン以上のDACA の若手人口を考慮して、何らかの妥協策を見出すのか、先行きが不透明である。

現時点では新規のDACA申請の審査は9ヶ月ほどかかっていることから、2017年1月20日に次期大統領が就任するまでに新規のDACAが承認される可能性はいたって低いが、延長申請のほうは比較的早く処理されているため、すぐに申請をすれば次期大統領就任までに承認される可能性が高い。しかしながら、DACAの審査が長引かないという保証はなく、また申請中のDACAもいつ取り消されるかわからない状況にあることから、申請費用ももどってこない可能性も秘めている。また、旅行許可証 (Advance Parole) を使って国外に出ているDACA保持者は、新大統領就任までにアメリカにもどってこないと、一旦DACAが廃止されてしまうと、アメリカにもどってこれなくなる可能性があるので注意が必要である。さらに、入国管理局は独自の判断で入国を拒否する権限をもっており、旅行許可証をもっていても入国が必ず保証されているわけではないため、DACA保持者は国外にでるのは極力避けたほうが賢明だといえる。

尚、新政権の不法滞在者に対する取締方針が厳しくなる可能性を考慮し、新規にDACAを申請する者は、DACAの申請を行うに伴い、指紋、犯罪歴、その他個人情報を政府に提供し、自ら不法滞在であることを表明するものであることを十分に認識する必要がある。政府は、詐欺や犯罪行為が判明しない限りは、DACA申請書類の情報をもとに将来退去処分にすることはないと表明はしているものの、その表明を裏付ける法律があるわけではなく、表明はいつでも撤回される可能性がある。DACAはあくまで一時的な救済措置に過ぎないため、政府に開示した個人情報が今後どのように扱われるか、何らの保証もない。すでにDACAを与えられているものは、個人情報を政府に開示済であるため、DACAの延長申請をすることにより、自らの立場をさらに悪化する可能性は低いとおもわれるが、新規申請者は、まだ方針の固まらない新政権下において、個人にとって不利な情報を開示するのは、かなり慎重に行う必要があるとおもわれる。また、雇用主責任として、DACAの就労許可証で採用している社員に対しては、今後の新政権の方針を見ながら、適切な対応をとることが重要であると思われる。

2016年10月: ビザ更新電子システム (EVUS)

米国国務省は米国国土安全保障省とともに、特定国の旅券保持者で、アメリカの特定非移民ビザを保持する者に対し、ビザ発行後も米国国土安全保障省に個人情報を提供するように義務づけるビザ更新電子システム (EVUS) を制定しました。この制度は2016年11月29日より効力を発しますが、初回は中国旅券保持者で、出入国回数が無期限のB1 (短期商用ビザ)、B2 (観光ビザ)、B1/B2ビザをもつ者が対象となります。中国旅券保持者は、2014年に米中間で合意された双方のビザの有効期限延長に基づき、B1, B2, B1/B2ビザの有効期限が1年から10年に延長されました。EVUSが施行されれば、中国旅券保持者は、ビザ発行後にオンラインで個人情報を登録する義務が生じます。この登録を怠ると、ビザが自動的に暫定的取消扱いとされるため、アメリカに入国はできなくなります。暫定的に取り消されたビザは、オンラインにて個人情報を登録することにより、再び有効となります。香港、マカオ、台湾のパスポートを保有する者はこの制度の対象とはなりません。

現行では、ビザ免除プログラム (ESTA) に参加する38カ国の国籍保持者がビザ免除プログラムを利用して短期商用目的もしくは観光目的で渡米する場合、事前にオンラインシステムで個人情報を登録する必要があり、2年毎に情報を更新しなければなりません。ESTAのオンライン登録をすることにより、旅行者はビザなしで、アメリカへの入国がスムーズに運ぶように取り計られています。中国はESTAの参加国ではないため、短期商用や観光目的で渡米する場合、事前にB1, B2, B1/B2ビザプログラムを申請しなければなりません。このビザ更新電子システム (EVUS) の導入は、中国旅券保持者が渡米前に個人情報をオンラインで登録することにより米国への入国手続きを円滑にし、また、2年毎に個人情報を更新することにより、B1, B2, B1/B2ビザ10年プログラムの安全性を高めることを目的としています。オンライン登録費用は$8で、登録は2年間有効です。このEVUS制度の対象となる旅行者は3.6ミリオンにも及ぶと予想されていますが、将来は中国以外の国の旅券保持者、またB1/B2以外の非移民ビザ・カテゴリーにも適用される可能性があります。米国税関国境警備局へは、週7日24時間、電話かイーメールにて英語と中国語の両カ国語で問い合わせることができます。EVUSの最新情報については米国税関国境警備局のウエブサイトwww.cbp.gov/EVUSを参照ください。

2016年9月: DV-2018 抽選による永住権 

2018年度の永住権抽選(DV-2018)の受付が東部時間2016年10月4日(火)正午12時にはじまり、2016年11月7日(月)正午に終了します。抽選による永住権とは、アメリカ合衆国を構成する人種の中で、移民比率の比較的低い国からの移民の数を増やそうとする目的で、年に一回国務省によって行われる移民多様化のことです。申請は無料、オンラインで申請を行ない、抽選者はコンピューターにて無作為に選ばれます。対象となるのはアフリカ、アジア、ヨーロッパ、北米、南米とオセアニアなど6つの地域から過去5年間において、移民ビザの発給少ない国で出生した人で、抽選で年間合計5万件の移民ビザが割り当てられます。日本で出生した人も抽選の対象となりますが、 過去5年間に5万人以上の移民を米国に送り出した下記の国の出身者は対象にはなりません: バングラディッシュ、ブラジル、カナダ、中国(本土生まれ)、コロンビア、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ハイチ、インド、 ジャマイカ、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、ペルー、フィリピン、韓国、イギリス(北アイルランドを除く)とその領土、ベトナム。香港、マカオ、台湾出生者は対象となります。本人が対象国で出生していなくとも、配偶者が対象国で出生していれば、その配偶者の出生国で申請することも可能です。また、対象とならない国で出生しても、本人の出生国が両親の出生国でなかったり、あるいは本人出生時にいずれの親も当該国の合法的居住民でなかった場合、抽選対象国で出生した親がいれば、その親の国の枠で申請することもできいます。一人一回だけの抽選ですが、本人の申請とともに配偶者と21歳未満のお子様も一緒に申請することができます。一人につき2回以上申請をすると、すべての申請が無効となります。

申請方法は、オンラインリンクhttp://www.dvlottery.state.gov/に行き、申請者の氏名、生年月日、出生地、出生国、居住国、住所、イーメールアドレス、電話番号、学歴、婚姻関係、配偶者情報、子供の情報など基本的な個人情報を入力します。デジタルも写真も添付し、オンラインで提出します。提出がおわると、名前と固有の確認番号が明記されている確認画面が表示されます。抽選状況については、2017年5月2日から2018年9月30日まで国務省のサイトwww.dvlottery.state.govで確認することができます。また、ビザ手続きのインストラクションや面接日時もEntrant Status Check上で通知されます。もし当選していれば、当選確認画面にいき、永住権申請方法についての指示に従い、申請費用支払いや必要書類など準備にとりかかります。
抽選による永住権を申請するには、まず申請資格を満たさなければなりません。まず、申請者は高校卒業あるいは同等の教育を修了している必要があり、小・中・高校での12年間の公認の教育課程を修了したことを証明できること、または、 少なくとも2年間の研修か実務経験を必要とする職業(米国労働省の定める基準に準ずる)に過去5年以内に2年以上従事していことが条件となります。米国労働省の職業基準に関してはO*NET OnLine (http://www.onetonline.org/)で確認できます。さらに、申請者は犯罪暦の有無やテロ国支援国家の出身であるかなど、米国移民法の要件を満たしているか審査されます。

永住権の資格条件を満たさない応募者の数も考慮して、当選者は申請枠よりもかなり多めに選ばれますので、当選しても必ずしも皆が皆申請を行なえるわけではありません。受領番号の若い順に申請を行ないますが、当選者は自分の順番がまわってくるまでは永住権の申請書類を提出できません。2018年の9月末までに順番が回ってこなかった場合、もしくはその年の永住権発給枠が達成してしまったら、当選者の永住権申請の受付は終了します。したがって、当選したらすぐにケース番号を確認し、順番が回ってきたら、速やかに申請を行うことが大切です。もし順番がまわってくる前に永住権受付が終了した場合、翌年度の抽選に再度申し込むこともできます。

2016年8月: 雇用主スポンサー申請の効率化

雇用主スポンサーのビザ申請は、申請者に関する個人情報とポジション情報、さらに雇用主の会社詳細情報を提出します。これには例外があり、Eビザの場合は国外の米国大使館か米国領事館で初回のEビザ会社登録がすんでいれば、次回からの申請は会社審査は簡素化され、個人の審査に重点がおかれます。Lビザの場合は、移民局への個別申請は毎回同じ会社情報も提出しなければなりませんが、Lブランケット(会社一括)申請であれば、最初に関連会社のリストが承認されていれば、次回からの申請者の雇用主審査は簡素化され、個人の審査に重点がおかれます。EビザやLブランケット以外の雇用主ビザスポンサーの就労ビザ申請では、各申請者の個人資格、当該ポジション、職務条件に関する情報を提出する以外にも、複数の申請を行う雇用主は毎回同じ会社情報を提出し、毎回同じ会社情報が個別に審査されることになります。また、審査官が追加証拠の要請をする際にも、別の申請者のときに既に提出した同じ内容の追加会社情報を再度提出するよう要請されることが多々あります。したがって、現状の審査方法は、書類を提出する雇用主にとっても、審査を行う移民局にとっても、重複した作業が大変多く、非効率的な手順となっています。

このように毎回重複した審査を避け、審査の効率化を図るために、2015年に “21世紀に向けた移民法の近代化と合理化”レポートの一環として、”Known Employer Pilot”プログラムが大統領に提出されました。このパイロットプログラムは、移民局が保管する雇用主の提出書類量の軽減、個別申請者の審査基準の一貫性、移民局内部の審査の効率化および合理化、国務省や税関国境警備局の連携強化による米国大使館や入国時における審査の効率向上を目的としています。このパイロットプログラムは国籍を問わず、申請者には皆平等に適用されます。移民局は各業界から雇用主スポンサービザを頻繁に利用している大手雇用主9社を対象に1年間のテスト期間を設けていますが、今年の3月から雇用主5社がこのプログラムに参加しています。今後、参加企業の数が増える可能性もあります。移民局はこのテスト期間内に様々な情報を収集し、このパイロットプログラムの効果を検討することになります。対象となるビザ種類は、永住権申請では第1優先枠の国際役員・管理職と卓越した教授・研究員の2つのカテゴリーです。非移民短期就労ビザではH-1B、L-1、TNなどのビザカテゴリーが対象となります。

このパイロットプログラムでは、雇用主はオンラインの雇用主ドキュメント・ライブラリーにアカウントを作り、雇用主の事業、体制、財務状況に関する書類をアップロードします。雇用主が特定ビザのスポンサーとなる資格を満たしているか、移民局に事前に審査してもらうよう申請書類を提出します。雇用主の資格が承認されれば、承認後に雇用主情報に変更があったり審査自体に問題がない限りは、次回からは雇用主追加情報を提出する必要はなくなり、次回からは個人とポジションに関する情報を提出するのみになります。このプログラムにより、移民局の審査時間が大幅に短縮化されると予想されています。このオンラインの雇用主情報データバンクは米国大使館や米国領事館を管轄する国務省と入国を管理する税関国境警備局とに共有されるため、米国大使館でのビザ面接や入国審査の効率も改善されるのではないかと思われます。

このプログラムのテスト期間終了後に、プログラムの分析情報が公開されます。その結果、このプログラムを正式に施行するか、判断されることになります。

2016年7月: 雇用主変更と滞在資格の維持

現在アメリカの短期就労ビザで就労しているものが雇用主の変更をする場合、アメリカにいながら雇用主変更申請を行うこともできますが、その為にはアメリカでの滞在資格を維持していたことを証明する必要があります。アメリカでの滞在資格を違反した場合は、日本の米国大使館か米国領事館で申請することになります。

H-1B保持者が米国内で雇用主変更を行うためには、新雇用主がH1B申請を完了するまで、前雇用主を離れることはできません。H1Bの承認期間満了まで勤務した場合、期限失効日から、10日間の猶予期間があたえられますが、H-1B雇用が期限満了前に終了した場合は猶予期間はあたえられないため、翌日から滞在資格を失います。米国内で雇用主変更申請を行うためには、前雇用主との雇用が終了する前に新雇用主が移民局にH1B書類を提出しなければなりません。申請時にまだ雇用が続いていた証拠として、H1B申請書類とともに直近の給与明細のコピーを提出します。ここで注意する点ですが、提出した給与明細の額が前雇用主が移民局に申請した給与額を下回っていないことも確認したほうがよいでしょう。仮に新規雇用主の申請であっても、前雇用主の給与額がH1B賃金を下回っていることが判明すれば、前雇用主のもとに監査がはいらないという保証はありません。また、H-1BにはPortability の適用があるため、前雇用主とのH-1B雇用関係終了前に新雇用主がH-1Bを移民局に提出すれば、承認を待たず翌日から転職先で就労を開始することができます。H1Bが承認されるまで240日間はPortabilityの適用で就労を続けることができますが、240日以内に承認がこない場合は、一旦就労を停止しなければならないので、注意が必要です。

LビザやEビザ保持者が米国内で雇用主変更を行う場合は、前雇用主との雇用が終了する前に新雇用主が移民局にEもしくはH1Bの申請を行うことができます。H1Bは今年の申請はすでに締め切ったので、大学など年間枠免除団体でない限りは、来年の4月まで申請できません。新雇用主が移民局にEやH1Bでの雇用変更を申請する場合は、申請時に前雇用主との雇用関係が続いていた証拠を提出しなければなりません。ただし、EからH1Bへの変更申請やEからEへの雇用主変更の場合はPortabilityは適用されないため、新たなEやH1Bが承認されるまで、転職先での就労を始めることができません。新雇用主のH1BやEの滞在資格が承認されれば、承認通知書についてくるI-94の有効期限までアメリカ国内で就労をつづけることができますが、一旦国外にでれば、再入国するために日本の米国大使館か米国領事館でビザスタンプの申請を行う必要があります。ここで注意すべき点ですが、Eビザは各国間で取決められた条約ビザであるため、H1BやLとは異なり、ビザ面接時に米国大使館や米国領事館で新たにEビザの審査をされます。移民局管轄のH1BやLビザは、移民局の承認通知書があれば米国大使館や領事館でのビザ面接は簡単な質問でおわりますが、国務省管轄のEビザは、仮に移民局発行の承認通知書があっても、米国大使館か米国領事館は国務省の基準に則って新たにEビザ資格の審査を行います。

前雇用主との雇用関係終了後に新規雇用主が見つかった場合は、一旦国外にでなければなりません。移民法上は職場に出社しなくなった時点で雇用終了とみなされるので、出社しなくなった時点でオーバーステイがはじまります。オーバーステイや滞在資格違反が180日を越えると、3年間は米国に入国禁止となるので注意が必要です。オーバーステイや滞在資格違反が365日を超えると、米国には10年間は入国禁止となるので要注意です。オーバーステイをすると、ほとんどの場合米国内にて滞在資格の変更申請を行うことはできませんが、オーバーステイが180日を越えなければ、米国外でビザを申請することはできます。ただし、オーバーステイがあれば将来ESTAの申請ができなくなるので注意が必要です。オーバーステイへの見方が厳しくなっているため、滞在資格を失う前に速やかに国外に出たほうがよいでしょう。